ひまわりちゃんの唇だ。
「ごめんなさい。……でも私風間さんのこと好きで……初キスは大好き人って決めてたから」
花火大会が終わって空が暗くなっても僕たちはしばらく空を見上げていた。
あっという間に夏休みが過ぎていき、たくさんの思い出が蓄積されていく。
河原でバーベキューをしたさいにマサオくんが流れて行ってしまったこともある。
しんのすけとネネちゃんが正式に付き合うことになり、僕とひまわりちゃんもそういう関係になったりもした
自転車でノーブレーキで下りながら大声で叫んだり、海へ行ってスイカのかわりにマサオくんを、打ち付けたこともあった。
全てが僕たちにとって忘れられない思い出だった。
しんのすけのまわりにはいつも笑いがあって、いつも僕らがいた
僕たちは幸せだった。
8月31日。夏休み最後の夜。
20時ころに自宅の電話がなった。ママが応対していたが
「トオルちやーん。しんのすけくんからお電話よー」と呼ぶ声がした。
「しんのすけ?……わかった」携帯の方にかければいいのにと思いながら電話に出る。
『あら、トオルちゅわーん。携帯電源切れてるわよぉーん』
「気持ち悪い声出すなよ。って携帯切れてた?ごめんごめん。ところでどうした?」
『んーあのさ、今から出れない?ネネやボーちゃんたちには声かけたんだ。子供のころ遊んだあの公園で集まろうって。ひまもくるぞ』
「うん、いいよー。なんかするの?」
『メインイベントだよ。楽しみにしてて』
「あっ風間くん」
「こっち。こっち。」
ボーちゃんたちはすでに集まっている。ひまわりちゃんの姿もあるが、しんのすけの姿は見当たらない。
「しんのすけは?」
「ちょっと準備してくるからってどっか行ったの。多分すぐ来るとは思うけど」
子供のころみんなと一緒に遊んだ公園。昔は広く感じていたこの公園は、今はなんだか小さく見える。
「しんちゃん、遅いわねー」
少し寂しそうにネネちゃんが言った。
「でも、メインイベントってなんだろう」
「なんだろうねー。早くしんちゃんこないかなー」
少し無言が続く。
なんとなくみんながしんのすけのことを考えているのだろうと思った。