出会ってからはじめて見たそんな義母の姿に俺は驚きを覚えた。
最初は難癖を付けていた双方の両親も最後には義母に折れる形となり。
俺は義母と二人で生活することになった。
稼ぎ頭の親父が死んで義母は必死で働いた。
受験で大変な時期の俺を育てる為に必死で働いてくれた。
高校3年の時、俺は家の事情もあり進路は就職すると決めていた。
しかし、その話を聞いた義母は
「大学に行きなさい。」
と言った。
「お金は母さんが何とかするからあんたは大学に行きなさい。」
なんで、実の息子でも無いのにそんなに俺に一生懸命なんだろう?
俺は半ば呆れながらそんな義母の言葉が嬉しくて思わず泣いてしまった。
そんな義母の言葉に背を押され少し遅れて受験勉強。
家の事情を考えると浪人は出来ないし、
そんな事で義母を落胆させたくなかった。
元々、勉強は出来るほうじゃないので入れた大学も大した大学じゃなかったが、
それでも合格と聞いた義母の涙混じりの笑顔は今でも忘れられない。
大学に入ったが俺は生活費分ぐらい自分で何とかしようと決めていた。
高校の時もそうだがアルバイト三昧の日々で
良く留年しなかったものだと今でも不思議に思う。