通夜の席でかみさんが義母の話をしてくれた。
正直、この年になるまで義母のそれまでの人生を聞いたことが無かった。
かみさんは義母から色々、聞いていたらしい。
義母は親父と結婚する前に子供が生めない体だったらしい。
最初はそんな事もあり結婚を断っていたそうだが、
親父はそんな事情を承知で
「俺たちには子供がいるじゃないか、俺の息子の母親になってくれないか?」
の言葉に義母は涙ながらに承諾。
親父も人前も憚らず泣いていたそうで。
義母曰く
「あんなみっともないプロポーズは無かったけど嬉しかった」
との事。その話を聞いて俺はやっと理解できた。
そして言葉にならなずに涙だけが溢れて仕方が無かった。
今までかなり泣いたけど息が苦しくなるほど泣いたのは初めてだった。
ぶっきらぼうな親父の優しさもそうだが、
親父のプロポーズを最後まで純粋に受け入れた義母に、
言葉に出来ない思いがこみ上げてきた。