男「十日で5割」
彼女「たっか! ウシジマくんか!」
男「こうなったらこのランプを10万5千で誰かに売るしか……」チラッ
彼女「こっち見るな! 要らんぞそんなもん!」
男「はぁ……」ショボン
男「このランプが本物ならすべて丸く収まったのになぁ……」コスコス
彼女「死ぬ気でバイトすればなんとかなるって……」ポン
魔人「お呼びですか?」ボワン
男「うわっ! ランプの魔人!」
彼女「嘘っ?! 本物?!」
魔人「あれ、ご主人様が変わったんですか。今回は随分と純朴そうなご主人様で」
男「やった! 本物だ! これは本物の願いを叶える魔法のランプだったんだ!」ヤッホーウ
彼女「し、信じらんない……」
魔人「普通は皆さん信じないんですけどね」
男「何叶えて貰おうかな……。と、とりあえず10億円欲しいな……」ワクワク
魔人「あ、すいません。元々三つだけ願いを叶えるルールなんですけど、前のご主人様が既に三つとも使っちゃいまして……」
男「へ?」
彼女「やっぱ使用済みだったか……」ピッポッパ
男「え、でもランプの持ち主が変わったら願いの数もリセットされるんじゃ……」
魔人「それやっちゃうと家族で使いまわして大変なことになるので……」
男「そんな……」
彼女「もしもし、お父さん? たしか死ぬほどこき使えるバイト探してたよね? 今私の彼が……」プルルルルル
男「うおおおお?! 何とんでもない電話してんだ君! やだぞ、君のとこの寿司屋で働くなんて!」
彼女「だってすぐに返さないといけないんでしょ? 今からバイト始めて給料の前借なんて他ではできないよ」
男「でも君のお父さん、俺のこと目の敵にしてるじゃないか!」
彼女「これを機会に仲良くなっちゃえば?」
魔人「なんかすごくお金に困ってるみたいですね……」
男「そうだぞ! このランプ買うために借金しちゃったんだぞ! それなのにお前がよく分からん自分ルールとか持ち出すから!」ウワアアアアアン
魔人「そういえばいくらで売られたんですか、私?」
男「7万もしたんだぞこの野郎!」シクシク
魔人「な、7万?!」
男「な? 高すぎるだろ?!」
魔人「安すぎる!」
男「え?」
魔人「そりゃあもう私が願いを叶えてあげられないとしてもですよ! それでも話し相手になったり、歌を歌ったり、ファッションチェックしたり、色々してあげたのに!」
彼女「それ、結構ウザがられてたんじゃ……」
魔人「それなのにこの私をたった7万で売るとは! だいたいあの人、既に億万長者でしょうが! どこまで金の亡者なんですか!」ムキイイイ
男「前の持ち主は億万長者なのか……。いいなぁ……」
魔人「こうなったらご主人様の願いも叶えて差し上げますよ!」
男「え、いいの?!」ワアオ
魔人「いいですとも! 私を7万で売ったことを後悔させてやる!」
男「じゃ、じゃあ10億……いや10兆円……待て待て、せっかくならもっと大きい桁の方が……。兆の次ってなんだっけ?」
彼女「京」
男「それだ! 1000京億兆万円ほしい!」
魔人「なんですかその意味不明な単位。あと、あまりに大きすぎる場合は却下しますよ」
男「何で?!」
魔人「多額のお金を突然生み出したら、経済が滅茶苦茶になるからです」
彼女「なるほど……」