俺「大丈夫です。教えくれてありがとう。これからは、俺も一緒にいますから。」これが俺の精一杯だった。
そうすると彼女は安心したのか、途端に涙目になった。
彼女「こわいんだよ…手術…絵を描けなくなるのも…ゲーセンに行けなくなるのも…何もかも怖いんだよ…」
彼女は何かがぷつんと切れたかのように、大泣きしだした。
俺も涙をこらえて、ひたすら「大丈夫、大丈夫…」としか言えなかった。
正直この時俺もダメだと思った。絶望してた。でも俺が弱音吐いちゃ絶対だめなんだと思って、ふんばったよ。
ひととおり励まして、なんとか良い空気に戻った。
彼女が、ブリジット描いてー!(ギルティギアという格ゲーのキャラ)
などと言ってくるので、俺が描いたりして遊んでいた。
すると、不思議と和やかになっていった。
そのうち、彼女のお母さんが機を見て病室に入ってきた。
俺「こんにちは」
母「あ、これはこれは…」
おふくろさんは人当たりの良い方だった。
俺は昔から大人(特におばちゃん)とは何故か打ち解けるのが得意だったので、すぐにお母さんとも懇意になれた。
しかし俺と彼女の関係性があまりに曖昧だったので、そこはなんとも言及しづらかった。母さんは勝手に彼氏だと思っていたようだが。
そして俺は手術までの間通い続けた。
すべてを捨てる覚悟だった。
大学も全部サボった。