生徒指導室という部屋には初めて入った。俺は椅子に座らされテーブル越しに校長と三人の教師が眉間にシワを寄せて座っている。
担任「・・・馬鹿たれ。」
体育教師「大馬鹿野郎がぁ!」
隣の担任「一歩間違えれば大事故だったのよ?」
校長「どうしてこんな危ない事をしたのか、話してくれるね?」
男「・・・」
最近の癖で面白い事を言いそうになるのをグっと堪える。
男「驚かせたくて、やりました」
校長「そう、ならその目的は達した。もうやらないと誓うかい?」
男「もうやりません」
校長「うむ、よろしい。この話は全校生徒に説明するよ。とても大切なことだからね。いいね?」
男「はい、申し訳ありませんでした。」
担任「・・・お前、本当にそれだけなのか?」
男「え?何がです?」
担任「特に目立ちたがりでもないお前が、急にこんな行動するとは考えられなくてな。それに隣のクラスだ。ひっかかる」
校長「うむ、そうですね」
体育教師「確かになぁ、お前運動音痴だもんなぁ!」
担任「はっきりと聞いておく。誰かに脅されてとか、じゃないのか?」
担任はいじめを疑っているみたいだ。下手に嘘をつけば泥沼にハマる気がする。正直に話そう。
男「いじめとかではありません。自分の意志です。あと、隣のクラスのみんなを驚かせたかった訳じゃありません」
担任「ん?」
男「女さんを、笑わせたくてやりました!」
担任「・・・女の気をひくためか?」
男「はい!大好きだからです!女さんが!」
隣の担任「あらあら、何だか照れちゃうわね」
体育教師「ぶっわはははは!面白い奴だなお前!」
校長「ははは。男君、もっと他にもアプローチはあるはずだよ?次は安全にね?」
男「はい!がんばります!」
俺は一礼して生徒指導室を後にした。