生徒指導室
隣の担任「私、今回の件で男君よりも驚いた事があるんです」
担任「なんです?」
隣の担任「女さんです。今回あの子が中心になって男君を助けたの。大きな声を出して、みんなに呼びかけて」
体育教師「あー、たしかにあいつはそういう事しないな。積極性にかける奴だ」
隣の担任「何だか嬉しくて。」
校長「全ての生徒は私達の子供。子供の成長は嬉しいものです。同時に私達は全ての生徒の親です。これからも大切に見守って行きましょう。」
三人の教師「はい」
放課後、女さんのクラスに直行した。女さんはまだ席に座っている。
「あ、有名人だ!」「窓枠男きたー!!」「目的がわからねぇよ」「マジかっこいい!憧れるわ」「憧れねぇよ!」
男「ど、どもども」
一日にして、俺は全校生徒の注目を集める時の人となった。
男「あ、女さん」
女「・・・」
女さんは俺に気付くと鞄を掴み教室から出て行く。
男「あ、ちょっと女さん!」
女「・・・」
女さんは俺の事を無視して、下駄箱で靴を履き替えて、校舎を出て行ってしまった。
男「お、女さん。話を聞いて欲しい」
女さんは校舎を出ると、何故だか体育館の方に歩き出した。3日前から放課後に呼び出している場所に向かっている。そう確信した。
体育館裏
男「今日はまいったよ、驚かすつもりが三階から落ちそうになるなんて」
女さんはさっきから桜の木を見ているばかりで俺の方を見ようともしない。
男「本気で死ぬかと思った。あはは。」
女「・・・」
女さんは無言で俺の目の前まで近づくと、息を大きく吸い込んだ。
バシン
右の頬に鋭い痛みが走る。
男「・・・あ」
目の前にいる大好きな女の子は大きな瞳から綺麗な涙をボロボロと流していた。
女「私は貴方に笑わせてって言ったのに!心配させたり、泣かせたりして欲しいなんて頼んでないのに!!」
男「ご、ごめん」
女「お昼だって!一緒に食べたかったのに!!」
男「ごめん。女さん、ごめん」
女「笑いのセンスだってないし!!木から降りられなくなるし!」
男「・・・ごめん」
それから彼女はずっと泣き続けた。俺はずっと謝り続けた。何だか小さな子供をあやしてるみたいだった。