笑子と教室に戻る途中、廊下で女さんとすれ違った。
女友「あ、男君ジャマイカ!」
男「ども」
女「あ・・・」
男「・・・じゃ」
女さんと目が合わせないように足早に通り過ぎる。
女「あ、あの!」
女さんの声が背中越しに聞こえた。でも、俺は聞こえていないふりをして、教室のドアを開けた。
女友「あ、え?どうしたの女っち?なんかあった?」
女「・・・」
教室に入り、席に着くと机に突っ伏した。なんだか疲れた、今日はもう帰りたい。
笑子「あんなにあからさまに避けなくてもいいのに、何か言いたそうだったよ?」
男「・・・多分近づかないでとか、ウザいとかだと思う。」
笑子「はぁー。そんなことをあんなに真剣な顔で言わないよ。まったく、男はほーんと女々しいところあるよねー」
男「・・・笑子、背中に毛虫ついてる」
笑子「え?やだ!ちょっと取って!ねぇ、早く」
男「やーだ」
自分を嫌う人なんて、嫌いになればいいはずだ。そうすれば少しは心が落ち着く。でも、俺はどうしても、どうしたって、女さんの事を嫌いになんてなれない。
笑子「ちょっと!早く取って、ねぇ!お願い!」
男「わはははは!踊れ踊れぃ!」
今日みたいに避け続けていれば、そのうち忘れられるはずだ。女さんの事を。女さんを大好きだった自分自身の気持ちを。
それが俺が出した答えだった。