家に帰るとTVを妹が占領していた。ドラマを見ている様だ。笑いには繋がりそうもない。
TV「犯人はお前だ!」
男「・・・面白いか?そのドラマ」
妹「そんなでもないかな。私最初から予想できてたし」
男「そう」
しばらく妹とドラマを見ていた。明日はどうやって女さんを笑わせようか、ずっと考えていた。
妹「お兄ちゃん。最近楽しそう。何かあった?」
男「まあちょっとな」
妹「へー、なーんか怪しい」
ふと、今日の女さんの笑顔が浮かんできた。明日も見たい。出来ればずっと毎日見たい。
TV「CMの後は驚きの真犯人」
妹「え!嘘でしょ!」
男「ははは。楽しんでるじゃないか」
不思議なもんだ。こんなどうでもいい事でも俺は笑ってる。ますます分からなくなってきた。どうやって彼女を笑わそうか。
翌日
昼休み
チャイムが鳴り、昼休みが始まった。いつもなら屋上に行くところだが今日は違う。
男「・・・普通に行っても面白くないな」
サプライズ、それはきっと笑いに繋がる。俺はベランダの窓から侵入する事にした。たぶん、面白いと思う。
友「ちょ、男!なにしてんの!」
教室の窓から身体を乗り出し、窓のしたにある足場とも言えない様な出っ張りに降り立つ。
男「何って、昼飯を食いに行くんだよ。」
友「お、おう。とにかく頑張れよ!」
男「ありがとう!」
女さんのクラスは隣。このクラスの一番後ろの窓から女さんのクラスの一番前の窓までは5m程度だ。
男「70歩くらいでいけるはず!」
一歩一歩。雨樋を掴みながら慎重に歩を進める。
男「ふ、ふう。三階だしな、落ちたら死ぬかも」
ザワザワ
体育「お、おい!こらそこの馬鹿!落ちたら死ぬぞ!」
下から体育教師の声がする。あと、25歩。
ガラリ
隣のクラスの窓が開き、中から生徒が顔を出した。
女A「て、えええ!君、なにしてんの!なにしてんの!」
男「い、良いから騒ぐな!女さんにばれたら意味ね~だろ!」