友人二人を連れ立って電車と徒歩で一時間、小さな町の居酒屋だった
看板にある電話番号はあの数字と一致する
店に入るとまだ早い時間だからか、客はオレたちだけ
酒もそこそこに店主に夢の話をしてみた
店主は心当たりがないようだったが、カウンター越しに聞き耳をたてていた女将が詳しい話を聞かせてくれと言ってきた
話を一通り聞かせると、女将はおそらく家にある人形じゃないか
越してきてからずいぶんになるが、しまいこんだままだった
ちょっと探してくるね、と店の奥に消えた
しばらくして、女将はすすけたクリアケースにしまわれた日本人形を持ってきた
一目でわかった
夢のあの人形だった
女将によると、この人形は女将父が生前従妹から譲り受けたもので、詳しくはわからないが非常に貴重なものであるとのことだった
もとの持ち主の従妹は金に汚く、変わり者で、親戚付き合いは何年も前に絶ってしまっているとか
女将としばらく話し込み、
もしかしたらということもあるから、とその従妹に連絡を取ってみるよう勧め、女将もそれに同意した
夢はしばらく続いたが、ある日を境にぱったりと見なくなった
人形にまつわるあの一族のなかで、何かしらが解決したような予感がし、肩の荷が降りるようだった