教えてもらった病院に行くと彼女の弟を発見した。ものすごく気まずい。
あたりさわりのない挨拶をしたあと彼は
「姉ちゃんに…会いに来てくれたんですか?」と聞いてきた。
「いや、うんまあ」と曖昧に返事。
弟はしばらく考え、少し話があると俺を連れて外へ出た。
人気のあまりない場所に来ると
「この度はご迷惑をおかけして本当にすみませんでした。」と深々と頭下げられた。
俺が戸惑ってると弟は色々話をしてくれた。
彼女の両親は彼女が学生の頃に他界。
姉ちゃんは自分の為に身を削り働いていた。
自分の大学の学費も払ってくれて、高卒でそんな高給は無理だろうに仕事掛け持ちで働いていた。
そのせいで体を壊したと。
俺には自分のせいで二人を引き裂くような形になり本当に申し訳ないと。
俺の頭の中で何か繋がった気がした。
俺が彼女と知り合ったのは彼女が俺の会社に派遣としてきたのがきっかけ。
派遣に珍しく仕事は一生懸命やってくれて、そこに俺が惚れたんだ。
彼女には両親のことは聞いてなかった。
「うち貧乏でさー」くらいしか言わなかったから。
弟にとりあえず彼女と話がしたいと告げると
「…今の姉ちゃん見ても、普通に話して下さい。お願いします。」と言われた。
病室に入ると痩せほそった彼女がいた。