出木杉はタクシーを拾うため駅前に向かっていた。
病院のスネ夫との連絡は密にとっている。前と同じ駐輪場付近で
準マイクロ波が測定されてるとのことなので、そちらは避けて別ルートで駅に向かう。
ルートを変えた直後のことだった。
携帯電話が急に圏外になる。
電波障害だ。
そう思った直後、前方数メートルのところにピンクのドアが現れる。
出木杉(やはり、どこでもドアか……)
ドアが開き、中からスネ夫が――いや、スネ夫のコピーロボットが現れる。
偽スネ夫「やあ、出木杉くん。僕のこと覚えてるかい?」
出木杉「ああ……あのときのコピーロボットだね。今日はノーヘルかい?」
偽スネ夫「ああ、改造してもらったんだ。今の僕は本物のスネ夫のスペックを遥かに超えて
いる。もちろん、君のスペックもね。そして鼻のボタンは無効化した」
出木杉「ボタンなんか押さなくたって君には負けないと思うけど」
偽スネ夫「出木杉の……出木杉のくせに……」
偽スネ夫「生意気だ!!!!」
偽スネ夫が突進してくる。
速い。前とは比べ物にならない。
咄嗟に体を横に逸らし、第一撃を避ける。
が、偽スネ夫の間接がありえない方向に曲がり、ポケットからナイフを取り出し突き出してくる。
頬をナイフが掠める。出木杉はわざと体制を崩し、地面を転がり距離をとった。
出木杉(落ち着け……落ち着いて構えれば、組み付くこともできるはずだ)
偽スネ夫が再び向かってきた。やはり速い。
だが、今度は素早く身を翻しナイフを持った腕を掴むことに成功した。
一瞬、偽スネ夫の動きが止まる。素早く、軸足を踏み出す。
肘を顎に向かって突き上げ、一気に足を刈り上げる。
出木杉(一本!!!)
前回より見事な大外刈りが決まった。頭から落ちた偽スネ夫は、
受身を取るまもなくコンクリートブロックに後頭部を強打した。
出木杉(……やったか?)
偽スネ夫「痛いなぁ、ひどいじゃないか出木杉くん」
偽スネ夫がゆっくりと起き上がる。首がありえない方向に曲がり、
後頭部が陥没しているにも関わらず、立ち上がったのだ。
思わず恐怖を感じる。
出木杉(駄目だ、やはりとどめを刺さなければ)
出木杉は上着のうちポケットからのび太の作ったスタンガンを取り出し、
偽スネ夫のむき出しの首めがけて突き出した。
その瞬間バキッと音を鳴らし、エクソシストよろしく偽スネ夫は上体を反らし攻撃をかわす。
そしてすぐに体を起こし、出木杉の腕を掴み驚異的な力で捩じ上げた。
出木杉「ぐああああああああああああ」
偽スネ夫「何これ、スタンガン? これで僕を倒すつもりだった? 危ないなぁ」
出木杉「うあぁああ、腕が、腕がああああ!!」
偽スネ夫「ロボットを倒せるくらいのすごい電流を、もし人間がくらったらいったいどうな
るんだろうね」