シンデレラの家では…
継母「ちょっと、美味すぎなんですけど? なにこれ? お店でも開くつもりなの? え? どうなの?」
シンデレラ「そ、それは……あの……そのような予定はありません……」
継母「んまぁ!! もったないわね!! こんなに美味しいのにっ!!」ハフハフ
シンデレラ「……」
長女「シンデレラー? ちょっとぉー」
シンデレラ「な、なんですか、お姉様」
長女「洗濯物畳んでくれてありがとう。もう貴方が洗ってくれた服しか着れないようになってしまったわ。責任とってね」
シンデレラ「は、はぁ……」
次女「シンデレラぁー? トイレの掃除、もしかして貴方がやったの?」
シンデレラ「は、はい、何か、その、不手際が……?」
次女「やっぱりね。キレイすぎると思った。さっき扉を開けたときトイレを新調したかと思ったわ。ふざけないでもらえる?」
シンデレラ「も、申し訳ありません」
三女「シンデレラ?」
シンデレラ「なんでしょうか?」
三女「クマのヌイグルミが壊れていたはずなんだけど?」
シンデレラ「はい。耳が取れていましたので……その……私が修繕を……」
三女「はぁぁ? やっぱり、貴方だったのね!!」
シンデレラ「……」
三女「まあ、お姉様やお母様じゃ、ここまで美しく完璧に直せないから、シンデレラしかいないと思ってたけど」
シンデレラ「は、はい……」
三女「買った時より可愛くなってるわ。どうするつもり? もう私、このテディベアを抱いて寝るしかないじゃない」
シンデレラ「よ、よくお似合いです……お姉様……」
三女「ふん! そ、そんなこと言われても、別に嬉しくないんだからね!!」
シンデレラ「す、すいません……」
継母「そうだわ。お庭の掃除をしなくちゃいけないわね。ちょっと」
長女「なんですか?」
継母「お庭の掃除をお願いしたいのだけれど?」
長女「ええ。わかりました」
継母「草や木の枝で怪我をしないようにね」
長女「わかっています」
継母「よろしくね」
長女「さーてと。やりますかぁー」
長女「――あら?」
シンデレラ「ふぅ……」
長女「シンデレラ?」
シンデレラ「は、はい?」ビクッ
長女「何をしているのかしら?」
シンデレラ「あの……家事が全て終わったので……庭の手入れを……。雑草が伸びていたので……やろうかなと……」
長女「お母様に言われたの?」
シンデレラ「いえ……えっと……その……」
長女「勝手なことしないでもらえるかしら?」
シンデレラ「も、もうしわけありません……お姉様……」
長女「貴方ねえ、家事を全部やった上にこんなことまでするなんて、正気じゃないわよ」
シンデレラ「でも、あの……私はこのお家でお世話になっている身ですから……」
長女「黙りなさい」
シンデレラ「……」
長女「過労死がお望みなの? そんなの許さないわ。シンデレラは私たちの中で誰よりも遅く、笑顔で眠るように死ぬこと以外は絶対にダメよ? わかった?」
シンデレラ「それは……難しいような……」
長女「で、怪我はしてないわけ?」
シンデレラ「あ、えっと……」
長女「はっきりいいなさい!!!」
シンデレラ「し、してませんっ」
長女「それを真っ先に言いなさい!! 心配するでしょ!! 全く、シンデレラはトロいんだから」