スネ夫「僕のこのパソコンでGPS情報をチェックできる。僕がオペレーターになって、みん
なの位置を把握する。コピーロボットの準マイクロ波も同様にね。のび太の作った
電磁波受信機と合わせれば、コピーロボットに騙されることはないはずさ」
出木杉「ここまでやれば、コピーロボット対策は大丈夫だと思う」
ジャイアン「問題は、黒服の野郎どもだな……あいつらどんだけひみつ道具を持ってるか
わからねえ」
出木杉「どのみち、向こうからこない限り、何も出来ないね」
出木杉はそう言ってため息をついた。
防戦一方である。
しずか「のび太さん、最近忙しそうね」
病院からの帰り、しずかが心配そうに言った。
出木杉はこのまま家に帰ると言って行ってしまった。珍しく、しずかと二人っきりだ。
のび太「ちょっと、作ってるものがあるんだ」
しずか「……ドラちゃん?」
のび太「ん……そうだよ。それだけじゃあないけどね」
しずか「しゃべるのよね、確か」
のび太「うん。今のところまだそんな複雑な会話は出来ないけど。電源入れるとね、朝は
『おはよう』、昼は『こんにちは』、夜は『こんばんは』って挨拶をするんだ」
しずか「ドラちゃんの声で?」
のび太「うん、出木杉くんが頑張ってくれてね。ドラえもんそっくりの声が出来たんだ。ま
あ研究室のみんなは『何でもっとかわいい声にしなかったんだ』って文句言ってる
けどね」
しずか「まぁ、うふふ」
しずかは笑った。のび太も笑った。
久しぶりの和やかな会話だった。彼女を自分のものに出来なくたっていい。
こうやって話すことが出来るなら、自分の気持ちを伝えなくても……
しかし、その和やかさは長くは続かなかった。
その夜、のび太がスネ夫からの緊急コールを受けたのは研究室でだった。
DR-1――ドラえもんの調整作業と、他の道具を作るために、
しずかと別れたから研究室に戻ったのだ。どちらの作業もちょうど終わったところだった。
スネ夫『準マイクロ波、電波障害の頻度が激しい。コピーロボットの動きが活発化してるん
だ……のび太は今研究室だよな?』
のび太「うん、そうだよ」
スネ夫『病院の前にものび太がいるよ……3人ほど』
のび太「気持ち悪いなぁ」
スネ夫『ああ。とりあえずこっちはジャイアンがいるから大丈夫。そっちはまた3人で合流
して、しずかちゃんを頼むよ』
のび太「わかった」
のび太はすぐに上着を着ると、研究室のドアを開けた。
外へ向かいかけたところで思い直し、研究室に戻り先ほど完成した道具の入ったジェラルミンケースを手にする。
ジェラルミンケースを持つと、今度こそのび太は外に飛び出した。