しずか「そんなことより、ここへ来る途中に研究室の前を通ったんだけど……」
のび太「ん?」
しずか「のび太さんの研究室で作ってるアレ……ドラちゃん?」
のび太「……うん。といっても、形だけだよ」
しずか「そうよね……」
のび太「情報工学科との共同開発でね、言語学習型のコミュニケーションロボッ
ト。そのロボットのデザインを、ドラえもんにしてみたんだ。周りから
はなんでそんなデザインに』って言われたけど」
しずか「のび太さんらしいわ」
のび太「けど、本物のドラえもんには程遠いよ」
のび太「実際、今の科学じゃドラえもんは無理なんだ」
???「やあ、野比先生にしずかちゃん」
しずか「あら、出木杉さん」
のび太「出木杉くん……その呼び方はやめてよ」
出木杉「いいじゃないか。助手になったのはのび太くんの方が先なんだし」
のび太「君のいる情報工学科とは違って、うちは慢性的な人手不足だから……そ
れだけの理由だよ」
出木杉「謙遜するなって」
のび太「そんなことないよ……現に今の共同開発だって君が皆を引っ張ってるし
ね。出木杉くんの方が、やっぱり僕より優秀だよ」
出木杉「そうかな。それより、ドラえもんの話をしていたみたいだけど?」
のび太「ああ、あのコミュニケーションロボットの方のね」
しずか「言葉を学習するって聞いたわ」
出木杉「まあ、多少はね。でも22世紀からきた、あのドラえもんほどのAIはとて
も無理だ」
しずか「そう……」
のび太「……本当に、ドラえもんの言っていたような未来が来るのかな?」
しずか「どういうこと?」
のび太「ドラえもんが言っていた年までに、今の科学があそこまで進歩するなん
て思えないよ」
出木杉「僕もそう思うな。今の科学では到底無理だ」
しずか「でも、ドラちゃんはそう言ったのよ?」
のび太「それが気になるんだ……どうしたってドラえもんの言っていた年には間
に合わない」
のび太「なぜドラえもんは嘘をついたんだ?」