中学卒業と同時に、
ドラえもんが未来に帰った。
のび太がもう一人立ち出来る、別れを割りきれる年齢と判断したらしい。
高校の類型選択で、のび太は何となく理系を選択した。
数学や理科が得意なわけではないが、
国語や英語も別に得意ではなかった。
相変わらずの適当さでのらりくらりと高校を卒業し、
藤子大学の工学部に入学したのび太は、
そのまま大学院まで進学し、博士課程を修了する。
今ではその藤子大学工学部ロボット工学科で助手をしていた。
その日の午後、のび太が大学生協でラーメンを食べていると、不意に声をかけられた。
???「野比先生!」
のび太「ん?ああ、しずかちゃん」
しずか「うふふ。まさかのび太さんのことを先生って呼ぶことになるとはね」
のび太「慣れないなあ、その呼び方」
のび太はガシガシと頭を書く。
ボサボサの髪の毛が余計ボサボサになる。
高校が別れてから疎遠になりがちだったしずかと、
藤子大学の図書館で再開したのはつい最近のことだった。
彼女は大学図書館で司書として働いているらしい。
しずか「それより、のび太さんまたラーメン?」
のび太「うん。でも昨日はカップの塩ラーメンで、今日は生協の醤油ラーメンなんだよ」
しずか「…………」
しずか「のび太さん、そういうところは変わらないわね」
のび太「そうかな?でもこないだしずかちゃんに言われてから、ヒゲは毎朝剃るようにしたんだよ」
しずか「それだけじゃダメよ。他に……」
のび太「他に?」
しずか「そうね、まずその伸ばしっぱなしのボサボサ髪を綺麗に切って整えて、
丸眼鏡をオシャレフレームに変えて、背筋を伸ばして、ヨレヨレの白
衣を洗濯してアイロンかけて……」
のび太「………いろいろダメみたいだね」