夕方
継母「ただいま戻りましたわ」
シンデレラ「おかえりなさいませ、お母様」タタタッ
継母「……」
シンデレラ「あの……お母様……?」ビクッ
継母「あら、シンデレラだったの? ごめんなさい、あまりに綺麗なんで天使かと思って呆けてしまったわ。全く、もう少し可愛げがなくてもいいのよ?」
シンデレラ「はい、気をつけます」
継母「で、シンデレラの姉たちはいずこへ?」
シンデレラ「みなさん、私の代わりに家事を……」
継母「代わり? いつから貴方は召使になったの? そんな身分じゃないでしょう? いい加減にしなさい」
シンデレラ「は、はい」
継母「そう……。今日一日、あなたは何をしていたの、シンデレラ」
シンデレラ「朝は、リビングでウトウトして……昼食を作ったあとは……そのすることがないので、本を読んで……いました……」
継母「んまぁ!!! 普通じゃない!!! いつでもそうしなさい!!!」
シンデレラ「わ、わかりました!!」
リビング
継母「おや……? これは……?」
シンデレラ「あ、あの……その……」オロオロ
次女「シンデレラぁー? 服の畳み方、もっと詳しく教えってくれってたのでるわよねぇ?」
シンデレラ「は、はい!」
継母「ちょっと。なんですか、片足を立てて。はしたない」
次女「お母様。私は気づいてしまったのですわ」
継母「どういうこと?」
次女「ボーイッシュなところが素敵ということに」
継母「んまぁ!!」
次女「ねー? シンデレラー?」
シンデレラ「いえ、でも、そういうのはちょっと……」
次女「嘘だったの? ふーん、妹のくせに嘘を言うのね。いい加減にしないと、泣くわよ?」
シンデレラ「すいません……」
長女「おーっほっほっほ、シンデレラに少し褒められたぐらいで有頂天とは、姉としてのプライドがないのかしらねえ?」
継母「んまぁ!! 貴方まで!!」
次女「お姉様だって、気品ある女性だって言われてからそんなキャラクターを演じるようになったではありませんか」
長女「いーえ。わたくしは生まれてから今までこんな感じザマス」
三女「シンデレラー、ごはんまだー?」
シンデレラ「は、はい! ただいま!!」タタタッ
継母「貴方もシンデレラにヌイグルミを抱いておくように言われたの?」
三女「やですわ、お母様。これはヌイグルミではなく、セリーヌなのですわ」
継母「……」
シンデレラ「あ、あの!!」
継母「何かしら?」
シンデレラ「わ、私が悪いんですっ!! お姉様たちに余計なことを言ってしまったのが原因で……お姉様たちがおかしく……」
長女「おかしくないわ!! だって、これが普通ですもの!! おーっほっほっほっほ!!!」
次女「シンデレラー。ごはんー」
シンデレラ「は、はい!! あの、お母様!! 怒るなら私だけにしてください!!!」
継母「そうね……」
長女「うーん……。今日も美味ですわ。いつになったら、5つ星以外の評価を私たちにつけさせてくれるのかしらね。おーっほっほっほ」
次女「全くですわ、姉上。毎日毎晩星が5つ。何が面白くて、こんな夕食を出すのかしら?」
三女「才色兼備なんて、シンデレラのためにあるような言葉ですわね。ね、セリーヌ?」
シンデレラ「……」
継母「シンデレラの美味しい料理を堪能している最中に申し訳ないですが、私の話を聞いてくれるかしら?」
長女「なんでしょうか、お母様?」
継母「これをご覧あそばせ」ペラッ
次女「これは……。お城での舞踏会?」
継母「左様。噂ではこの舞踏会で王子様の未来の妃を決めるとか決めないとか」
三女「それはなんとまぁ……」
シンデレラ「すごいですね」
継母「貴方達も参加するのよ?」
シンデレラ「お姉様、がんばってください」
次女「何を言ってるの、シンデレラ? 貴方、頭悪いの? それとも目のほう?」
シンデレラ「あ、あの……それは……どういう……」