【※やり直し※】10年前に戻って人生をやり直すことに・・・僕は10年分の巻き戻しを、まったく無意味にしてみた。

「あのさ」と彼女は言った。
「停電で、見えなくなっちゃう前にね、
最後に一つだけ、確認させて欲しいんだ」

「何を?」と僕が言い終える前には、
彼女は背伸びして、僕の頬に唇を当てていた。
「ごめんね」と彼女は言った。「それだけ」

確かに、確認はそれだけで十分だったんだ。
それだけで、色んなことを、僕は思い出せた。

僕はずいぶん表面的なことに捉われていたんだろうな。
二周目における記憶の制限は、僕の考え方にまで、
致命的な欠陥を与えてしまっていたようなんだ。
言葉にできない感覚を、僕は軽視し過ぎていたんだよ。
このことにしたって、口で言っても伝わんないんだろうけどね。

「こんなに傍にいたんだね」、目を伏せて彼女はそう言った。
彼女が振り返るのとほぼ同時に、辺りの灯りが一斉に消えた。

それは実に馬鹿げた光景だったと思うよ。
サンタクロース二人が袋から色んな灯りを出してさ、
誘導棒を持って交通整理をし始めたんだから。

用意した色とりどりの回転灯なんかは、見方によっては、
クリスマスのイルミネーションに見えなくもなかったな。
馬鹿みたいに沢山並べたんだよ、僕たち。

しかも僕はその馬鹿らしさに当てられちゃって、
窓を開けてねぎらいの言葉をくれたカップルとかに、
何回か「メリークリスマス!」を言っちまったんだ。

▼ 続きは次のページにて♪ ▼
前のページへ 次のページへ