スネ夫「のび太に任せてちゃ不安だからな!」
しずか「私も、最後にみんなとの思い出がほしいわ!」
「俺も!」「あたしも!」
「なんかさ、二組の野比が文化祭頑張るらしいぜ。」
「まじ?馬鹿じゃね?でも一組もなんか思い出ほしいよな……」
気が付けば学年全体が文化祭ムード一色になっていた。
出木杉は思った。
本当に不思議な人だなぁ、と。
その日、のび太は早速ドラえもんに報告した。
ドラえもん「君はいつも一生懸命だからなぁ。」
と優しく微笑むばかりだった。
最近ドラえもんは、道具を出してもらうことも、叱られることもなく、ただ笑っていることが増えた。
のびママ「のび太~、早くお風呂入っちゃいなさ~い。」
のび太「あっ、は~い!」タタッ
ドラえもん「もう、大丈夫かもな。」
その後も、文化祭準備は進み、苦しいこともあったが、のび太たちのクラスは、最優秀クラスとして表彰され、文化祭は終わった。
…………
……
のび太(その後だな。ドラえもんがいなくなったのは……)
出木杉「僕はね、あの時の君の言葉もだけど、姿勢に感動したんだよ。」
のび太「え……」
出木杉「君は馬鹿だ、馬鹿だと言われながらも、必死に自分の考えを伝えようとしていた。ここまではみんな知ってるだろうね。でもね、僕が立派だと思ったのは君がちゃんと勉強を続けていたことだよ。」
のび太「……」
出木杉「勉強だって、最初はやっても無駄だとからかわれていたのにやっていて……こういうと失礼かもしれないけど君の成績で第一志望に入るなんてちょっとの努力じゃできないことだよ。」
のび太「……」
出木杉「そんな君を見て、僕は中学に入って諦めた『宇宙に行きたい』っていう夢をもう一度目指すようになったんだよ?」
出木杉「僕は君にたくさんのことを教わったんだから、がっかりさせないでくれよ?君は人に大切なことを教えることができるんだから。」
のび太「……」
出木杉「おっと、もうこんな時間か。僕はもう行かなきゃ!じゃあね!」
のび太「あっ、出木杉くん!」
出木杉「なんだい?」
のび太「ありがとう!」
午前2時、のび太は中学の屋上にいた。中学時代にはよくこうして忍び込んだものだった。
…………
……
のび太「ただいま!ドラえもん!!今日さ、二組が最優秀クラスになったんだ!」
のび太「あれ、いないのか……」パサッ
のび太「なんだこの紙切れ……」
のび太「!?」
のび太は家を飛び出して、闇雲に町を走り回った。
『のび太くんへ 最近の君はとても立派で僕はうれしいよ。』
ドンッ