タイトル:怖いね
本文:もう少し近くに行ってもいいですか?
怖くて、出来れば手の一つでも握りたいです。
よし、送信。
姉ちゃんはどんなときでも携帯を肌身離さずもってるから、
すぐ気づくはず。あ、気づいた。
パカッ
あ、メール見てる見てる。
姉「…………」ギロッ
うわ、めちゃくちゃ睨んでる…。怖い。
余計な事しなきゃ良かった。うわーまだ睨まれてるよ…。
え、映画鑑賞を続けよう……。
ブーン ブーン
返事はやっ!!いつの間に!?
タイトル:願ったりかなったりです
本文:私も怖くて、今にも声をあげてしまいそうです。
弟が近くに来てくれるなら、これほど嬉しい事はありません。
大変不躾なお願いですが、弟の方から近くに来てくれないでしょうか。
私は恥ずかしくて、この場を動く事ができません。
手も、握ってくれるならば、それは今日一番の喜びになります。
弟「……………」
ニジリニジリニジリ ギュッ
姉「!!………ちっ……うざっ」ギュウウウウ
弟「痛い痛い痛い姉ちゃん手が潰れる!!」
姉「黙って見ててよ。うるさい。」ギュウウウウウウウウウウ
弟「(あがががががががががあが!!)」
–夜も更けて–
あーまだ手が痛くて眠れない。
あの握力はなんなんだまったく。
怖いなら怖いって言えば……いや、メールでは言ってたか。
ちくしょう正解がわからない。
ブーン ブーン
え?こんな時間にメール?
誰から……って姉ちゃんか。
タイトル:起きていますか?
本文:夜分遅くに大変申し訳ありません。
弟はまだ起きていますか?
今日の映画、大変怖かったですね。
でも途中から弟と寄り添い、手を取り合ってみることで、
とても楽しい時間をすごす事ができました。ありがとう。
手を取り合ってって……。俺の手もうすぐでひしゃげるところだったんだけど。
まぁ普段なんだかんだであんな人だから、怖くて近づけなかったのも事実。
今回あんな引っ付いて映画観れたのはなかなかに嬉しかった。