<2/28・TUE>
後輩女「おはようございます」
男「おはよう。昨日はありがとう」
後輩女「いいえ、こちらこそ夜遅くに済みませんでした。あの後はちゃんとご飯食べました?」
男「いや、疲れてたからシャワーを浴びてすぐに寝たよ」
後輩女「そうですか……朝ご飯は?」
男「いつも食べないから、食べてない」
後輩女「はい、予想通りでした。コンビニで少し買ってきましたから、一緒に食べましょう?」
男「用意が良いんだね……食べないと駄目?」
後輩女「駄目です。菓子パンとアロエヨーグルトと、プリンもありますよ。お好きなものを選んでくださいね」
男「……じゃあ、三食パンとアロエヨーグルトをもらうよ」
後輩女「はいどうぞ。今日は大丈夫そうに見えますね。顔色も良くなってます」
男「昨日の朝よりかなり楽になってるよ。一昨日は寝たのかもよくわからないくらいだったから」
後輩女「……ちゃんと食べてください。明日はドライブですよ?」
男「相模原に交換した機具のチェックね。わかってる。後で女先輩にストックと生産計画の再確認をしよう」
後輩女「わたしから確認しておきます。それくらいはやらせてください」
男「任せるよ。……そういえば今日は昼からミーティングがあった。夏に向けての新商品についてだから、資料をもらったら君にも転送するよ」
後輩女「了解です。確認しておきます」
後輩女「はい、わかりました。ありがとうございます……はい、失礼します」
男「………………」カタカタ
後輩女「男先輩、相模原の生産計画、問題ありません。予定通り明日のチェックでいけます」
男「あぁ、ありがとう。木曜日には一関のも確認出来る?」カタカタ
後輩女「了解です。そろそろお昼ですけど、どうしますか?」
男「朝に食べたからいらないくらい」
後輩女「うーん、じゃあ、またわたしが軽く買ってきますね」
男「ん……買いに行かせてばかりじゃ悪いから俺も行くよ。そこのコンビニでしょ?」
後輩女「はい。ミーティングの時間は大丈夫ですか?」
男「二時からだから問題無い。その間は留守番を頼むよ」
後輩女「了解です。ご心配無く」
男「アロエヨーグルトはもういいか。違うヨーグルトにしよう」
後輩女「角切りりんごヨーグルトとか、わたし好きですよ。プレーンはあまり食べませんね。何か入っていた方がやっぱりおいしいです」
男「ま、確かにね。今日はアイス買うの?」
後輩女「昨日はお昼を食べた後だったのでデザートで買ったんです。今日はどうしましょう?」
男「俺を見上げながら訊かれても……。買えば良いんじゃない?」
後輩女「じゃあ、雪見だいふくを一個ずつ食べましょう? 昨日は結局もらってくれませんでしたから、今日こそ」
男「……良いけど、そんなに食べさせたいの?」
後輩女「フォークが一つしか入ってないから……です」
男「うん? 君は時々不思議なこと言うね」
後輩女「早く行きましょう。今日も寒いです」
後輩女「今日はちゃんと晩ご飯食べました?」
男『昨日と同じだよ。家に着いて着替えただけ。今日も何も買ってない』
後輩女「もう。ちゃんと食べないと駄目じゃないですか。今から男先輩のおうちに行きますよ?」
男『時間遅いから外に出たら駄目だよ。良い子は寝る時間だ』
後輩女「子供扱いしないでください。わたしはちゃんとした大人なんですから」
男『君はパッと見ると未成年に感じる時もあるよ。何で会社に子供がいるんだろう? みたいに』
後輩女「んふふ、わたしが目の前にいる時に同じ台詞が言えますか? 聞こえた瞬間にその口を塞いじゃいますから」
男『窒息死させる気か? 怖い怖い』
後輩女「そんな長い時間塞いだらわたしも死んでしまいます。わたしはまだ死ぬつもりはありません」
男『やり残したことでも?』
後輩女「まだ男先輩とデートしてませんから。それからお弁当も作ってあげていませんし、男先輩の車でドライブも行きたいです」
男『うん……先輩を立ててくれてありがとう。俺は良い後輩を持ったよ』
後輩女「………………」
男『どうした? 電話で無言だと放送事故だよ?』
後輩女「今のは聞かなかったことにします……明日、雪みたいですね」
男『んん? あぁ、そうみたいだね。どうする? 行き帰り両方俺が運転しようか?』
後輩女「その方が良いと思います。わたしは雪道を運転したことが無いので自信無いですよ」
男『俺も数回だけどね。怖いから速度は出せないし、視界が悪いから本当に危ない』
後輩女「明日は余裕を持って出ましょう。あ、明日はわたしがお弁当作っていきましょうか?」
男『君の手間になるから、俺の分は作らなくていいよ』
後輩女「じゃあおにぎりでも。それとも……わたしの作ったものは食べられませんか?」
男『……声にドスが効いてて怖いよ。怖い怖い怖い……』