男『俺はカフェベローチェによく行くかな。あそこはコーヒーが安いんだよね』
後輩女「ベローチェは何となく入りやすいイメージがありますね。わたしはドトールのミルクレープが好きです。コーヒーだけならタリーズも」
男『タリーズはコーヒーがおいしいね。でも行くと何故かいつも混んでるんだよ。仕方ないから近くのベローチェを見てみると席が空いてて、
悩んでそっちに行くことが多いな』
後輩女「スタバはどうですか?」
男『無理です』
後輩女「わ、即答ですね」
男『無理だよあんなの。メニュー見るだけじゃどんなものなのかわからないし、大体トールだのグランデだのってサイズの名前が気に入らない。
SMLでいいじゃん』
後輩女「そこまで知ってるってことは、行ったことあるんですか?」
男『スタバでソイラテは飲んだことある』
後輩女「それってタリーズにもありましたよね?」
男『ソイラテは好き。それ以外はどこでもブレンドしか飲まない』
後輩女「フレーバーとかは?」
男『俺はコーヒーを飲みに行くのだよ。で、そこで読書をする。余計な香りはいらない』
後輩女「たまには、バニラの香りとかクリームを浮かべたり、とかは?」
男『注文が面倒くさい。ブレンドM。その一言』
後輩女「それベローチェですよね? タリーズはスタバと似たようなサイズ表記ですから」
男『ホットのソイラテトール。あーもう考えただけで面倒くさい。やっぱりベローチェが一番だよ。注文楽だし』
後輩女「理由はそこですか」
<2/29・WED>
男「飴ちゃん舐める?」
後輩女「はい、飴ちゃん頂きます」
男「あー、お腹いっぱいで眠たいよ」
後輩女「おにぎり二つしか食べてくれなかったじゃないですか。たくさん作ってきたのに」コロコロ
男「……あのね、部活やってる高校生じゃないんだから五個も食べられません」
後輩女「持って帰って今日の晩ご飯にしてくださいね。あ、テレビ電話で食べてる姿を見せてください」コロコロ
男「過保護にも程があるよ。ちゃんと頂きます」
後輩女「この季節ですから悪くはなりませんよね。中身も梅干がありますから大丈夫だと思いますが」コロコロ
男「夜までなら大丈夫だよ……あぁ、地下から出ると雪が舞ってるのがわかるね」
後輩女「朝も凄かったですね。転びませんでした?」コロコロ
男「途中若干滑って腰イわせた」
後輩女「はい?」
男「腰がちょっと痛いかも」
後輩女「用心して歩かないと駄目ですよ? 怪我したら大変ですから」コロコロ
男「もうすぐ三十のおっさんだからね。気を付けます」
後輩女「男先輩は二十八歳に見えませんから大丈夫ですよ」コロコロ
男「子供っぽい?」
後輩女「対応はとても紳士ですけど、外見はお若いです。素敵だと思いますよ」コロコロ
男「気を使ってもらって恐縮です。君はいつも可愛いよ」
後輩女「本音として頂戴しますね。ふふっ」コロコロ
男「………………」
後輩女「………………」コロコロ
男「………………」
後輩女「………………」コロコロ
男「………………」
後輩女「………………」カリッ
男「……良い唄だね」
後輩女「はい、とっても優しい唄。お父さん目線の唄です」
男「唄も聞き取りやすいし、メロディーも難しくないし、歌詞も良い。派手さは無いけどそれが良いのかな」
後輩女「お父さんとお母さんが子供にとっての補助輪で、いつか独り立ちする時には補助輪は外れるけど、ずっと見守ってくれてるんですよね」
男「君は実家暮らしだっけ?」
後輩女「はい、そうです」
男「親孝行はしてる?」
後輩女「手伝えることはしてるつもりですけど、今までしてくれたことを思うと全然足りません」
男「本当に、君は良い子だね。そう思っていればご両親は喜んでくれると思うよ」
後輩女「……でも、両親はわたしに早くお嫁に行ってほしいみたいです」
男「そっか。良い人が見つかると良いね」
後輩女「………………」
男「………………」
後輩女「……飴ちゃんください」
男「どうぞ」