初日が終わったオラは、返りながら項垂れていた。
あんだけ無茶苦茶な質問が繰り返されたんだし、たぶん無理だろ……
とはいえ、試験は全て受けないといけないらしい。
本音を言えばもう行きたくないんだけど……それだと、せっかく紹介してくれたあいちゃんに申し訳ない。
しかたなく、二日目以降も行くことにした。
「――お兄ちゃん、なんか疲れてるね……」
家で、オラにお茶を出しながらひまわりが呟いてきた。
「ああ、ありがとう。……まあ、ちょっと慣れないことやったしな……」
(あんな面接、慣れてる人の方が珍しいだろうけど……)
するとひまわりは、困ったように微笑みかけてきた。
「……お兄ちゃん、無理しないでよね。お兄ちゃんさ、ときどき、色んな事を全部一人で背負っちゃうし」
「……」
「私もいるんだからね?家族なんだし……。だから、その……うまく言えないけど……」
あまり慣れないことを言ったからか、ひまわりは言葉に詰まってしまった。
……でも、それでも、彼女の気持ちは、思いは、十二分に伝わってきた。
「……ありがとう、ひまわり。少し楽になったよ……」
「……うん。頑張ってね!お兄ちゃん!」
ひまわりは、太陽のような笑顔をオラに向けた。
ひまわりは、漢字で向日葵と書く。別名、日輪草。
……父ちゃん、母ちゃん、ひまわりは、名前に負けないくらい、太陽のような女性に育ってるよ。
――明日も、頑張ろう。