友「俺はたださぁ」
一転してトーンの落ちた友の声は、少し震えているようだった。
友「お前がどっか遠くに行く前に少しでも何かを残したくて」
友「少しでも何かを共有したくて」
友「少しでも後悔を残して欲しくなくて」
友「そう思ってるだけなんだよ」
友「お前の…」
友「お前の親友として」
友の言葉に咄嗟に返すことが出来ない。
こんな風に面と向かって、気持ちをぶつけて、
面と向かって親友と言ってくれるやつがいるだろうか。
俺は……
俺は……
自分のためにも、こいつのためにも、この夏に出来ることはやらなきゃいけない。
この夏は、この高二の夏は、人生で一度しか無いんだから。