帰る雰囲気になった時はもう四時半回ってて、こんな日くらいはと夕食誘って回転寿司屋行って。
ワサビがダメな彼女、さび抜き注文するの俺に頼んで。俺から店員さんに声かけて頼んで。
お婆さんがそれ見て「世話焼きやなぁ。」彼女にも「甘えきってからに。」嬉しげに笑って。
世話になりっぱなしで何とか中学出せたと頭下げられて。そんな事されると何か慌てて。
「俺もお世話になってますから。」「なんちゃ釣り合い取れとらせん。」断じられて。
お婆さんは彼女の髪撫でながら「あんたもチューくらいしたげんと。」冗談で言ったんだろうけど、
彼女はワンテンポ置いてから「う、うん。」真面目な顔で返事して。その時はそれですんだけど、
帰って二人になった時。彼女が俺の肩つついて「あは。教えてください。」ちょっと顔赤くして。
「教えてって。」「した事無いもん。」「いずれね。」余裕見せたつもりだったけど、
結構強く、肩叩かれた。明らかな抗議。不満げな表情。それ消すためにずいぶん長く、撫でた。
高校の入学式当日。俺は仕事。しかも夜勤明け。彼女は残念がったけど出席出来なかった。
色々あって家帰れたのが一時。夕方六時頃に彼女が顔触ってるのに気付いて、目を覚ました。
ヒゲ触ってる手止めさせたら「おはようございます。」「おはよ。」眠気はまだあったけど起きて。
彼女はまだ制服着たまま。きちんと着た姿は初めて。突然大人びた感じがして、違和感すら感じた。
彼女がかわいいと言った制服は、公立校にしては派手目な色使いで。田舎では珍しかった。
紺ブレザーと赤いタータンチェックのスカート。濃い赤地に細く斜めラインのネクタイ。
中学よりは校則緩くて髪結ばなくて良かったから、肩胛骨までの髪はおろしたままで。
見せたかったから着替えなかったと言って「今日から高校生です。」「うん、おめでとー。」
言わんとする事は解ってたけど気付いてないフリして。その時は彼女も笑っただけで。
夕食食べさせて貰いに市営の方行って。彼女は友達が多いクラス入れて安心だと。そんな話して。