男「……過去や未来に行く方法は今も見つかってないし、あるかどうかもわかってない」
少女「うん」
男「だから、少女ちゃんはこれから、この時代で過ごさなくちゃいけない」
少女「……」
男「戸籍は多分、もうない。でも、役所に行けばどうにかはなると思う」
少女「どうにかって、どうなるの?」
男「40歳になるのか、10歳になるのかはわからないけど、でも、どうにかはなる」
少女「……」
男「どうしたい?」
少女「……わかんないよ、そんなの」
男「そうだよね。ごめん、急ぎすぎたね。でも、考えておいて欲しいんだ。今すぐじゃなくていいから」
少女「……」
男「ああ、そうだ。銭湯にでも寄って行こうか」
少女「えと」
男(っと、やめた方がいいかな。色々不安だろうし)
少女「ひろい?」
男「あー、うん。結構広いよ」
少女「いってみたい、かも」
男(しっかりしてるっていうか、俺が10歳の頃ってもっと馬鹿で弱かった気がするなぁ)
少女「どうかした? あ、たおるとせっけんは?」
男「なんでもない。タオルなんかは向こうで借りるから大丈夫」
男(よく考えてみたら、親戚らしい親戚と話すのって、少女ちゃんが初めてなのかな。……不思議な話だな)