先輩「にひひ……、いや、折角だから、どんな男に惚れてるのか、後輩のヤツから聞き出してやろうと思って」
部長「あなたねぇ……」
先輩「何です?」
部長「それ聞き出して、どうするつもり?」
先輩「それは……いや……、別にどうも、しねーですけど……」
部長「だったら、そっとしておいてあげなさいよね」
先輩「えぇー……。でも、水くさいじゃないですか」
部長「でもねぇ」
先輩「それに、」
部長「それに?」
先輩「変な男につかまってたら、嫌ですし。あいつ馬鹿だから」
部長「……そうだとしても、それは後輩さん自身の問題でしょ。私やあなたが、口出していいことだとは思わないけどね」
先輩「いやいや、そこは先輩としてね、言ってやったほうが……」
部長「やめときなさいって」
先輩「……えぇー」
部長「確かに、あなたが陸上部にいたころは、あの子にとって『憧れの先輩』だったけどね、あなた」
先輩「……」
部長「いつもあなたにベッタリで……、私の言うこと全然聞かないのにね、あなたが言うと、すぐ言うこと聞いてね……」
先輩「はは……」
部長「でも、今は違うからね。今は『ただの』『仲の良い先輩』」
先輩「……」
部長「そんな、ただの先輩が、とやかく言える立場かしらね」
先輩「いや、私は、あいつにとって、それでも、先輩だし……」
部長「あのころみたいに?」
先輩「……」
ザァァーーーーーー
先輩「それは……」
部長「キツい言い方だけどね、後輩さんのプライベートに口を挟んで、それで、あなたから後輩さんに、何かしてあげられるの?」
先輩「ぅ……」
部長「今のあなたに」
先輩「今の、私は……」
部長「……」
先輩「……う、うどんとか、打てる」
ザァァーーーーーー
部長「……」
先輩「……」
部長「……手打ち?」