よくよく考えると、俺の高校は私立で制服もブレザーだったから、
ここらへんに住んでる人だったら、一発でわかるウソだった。
言ったあとで「しまったな」と思ったけど、結果から言えば、
俺がつけたウソはこれだけ。
なにせ、このお姉さん。
めちゃくちゃおしゃべりだった。
俺にしゃべる隙を与えないんだよ。
このお姉さん、ほぼ二十分間俺に向かって、
俺の通っている高校のことについてしゃべりたおした。
「いやあ、あたしが通ってたときはまだ女子高だったんだよねえ」
気づいたら、俺ってば一言しか話していない。
このままではマズイ。
「ちょっと待ってください。ボクも話したいんですけど」
俺は、無理やり会話に割りこんだわけだ。
でも俺が会話にわりこむと、お姉さんったら露骨に悲しそうな顔するんだ。
申し訳なくなって、俺はまた黙ってしまった。
あっという間に、おしゃべりタイムは終わった。