説明をくわえられても、いまいちピンと来なかったけど面倒だから、
それ以上俺はなにも聞かなかった。
おっさんは一通りの説明を終えると言った。
「じゃあ、最期に簡単なテストをしましょう」
「なにやるんですか?」
「簡単です。これから僕が呼ぶ女性社員と、二十分間話して。
そしてその会話の中で、彼女をだます……いえ、彼女にうそをついてください」
おっさんが「入って」と言うと、スーツを着た女が入ってきた。
やぼったいメガネをかけた地味な人だった。
その地味な社員さんと俺だけの会話がはじまった。
「どこの高校に通ってるんですか?」
俺は人と話すのは、きらいじゃなかった。いや、むしろ好きなほうだ。
さらにいうと、俺は年上の女の人に惹かれるんだよ。
さっそく調子にのってウソをついた。
自分の通ってる高校とは、ちがう学校の名前を言った。