結局それ以来物に触れなくなってしまった
霊子さんの代わりに俺が料理をはじめた
霊子さんに指示してもらってその通りに作る
料理は苦手だがなんとか上手く行った
霊子「・・・はぁ・・・」
男「まぁ・・・不便でしょうけど
一応俺も居ますし」
霊子さんは浮かない表情で
霊子「ありがとうございます・・・」
物に触れなくなるということは
そうとう不便だろう
霊子
「なんだか急に実感しちゃいました・・・」
男「そう・・・ですね。俺もです」
今まで霊子さんが幽霊だと分かってはいても
なんだか実感していなかったというか・・・
もう何かを食べることも着ることもできない
霊子
「男さんから貰った手袋・・・
気に入ってたのになぁ・・・」
たまたま俺が買ってきた
(たまたまではない気もするが)手袋・・・
買ってきた理由はともあれ
霊子さんは凄く喜んでくれていたみたいだ
霊子「なんか・・・ごめんなさい」
男「なんで謝るんです?」
霊子
「もう料理も家事もできないのに・・・
私はここから出ていけない。
なんか男さんの負担になってる気がして・・・」
男
「別に・・・
霊子さんはそこに居てくれるだけで
俺は十分ですから」
おっと、
思わずとんでもないことを言ってしまった
霊子「え・・・?」
なんか霊子さんも赤くなってるし
男
「あ、いや!霊子さんがここにいることで
家賃も下がってる訳ですし!」
霊子
「そ・・・そうですよね。
居るだけでクーポンみたいな。
・・・あははは」
霊子さんが居るだけで・・・なんていうか・・・
楽しい
今はそうとしか表現できないけど
悪い気分じゃない
時刻はもう1:50
そろっと寝ないと明日がきつい
男「俺そろっと寝ます」
霊子「あ、そうですか!お休みなさい」
男「あれ?霊子さんは?」
霊子「いえ、寝るところが無いですし・・・」
俺が押入れを使ってしまうと
必然的に霊子さんが余ってしまう
男「でも霊子さん寝ないと・・・」
夢で記憶が取り戻せない
霊子「いえ、大丈夫ですから!」
なんか頑なだなぁ・・・