道無き道を登り始めて婆ちゃんが食えると言っていた草っぽいのとか
そういうのを引っこ抜いてたり刈ってたりしてそりゃ目一杯楽しんだ。
俺さ、割と馬鹿だと言われる方なんだがその時も勿論馬鹿で、
婆ちゃんが
「この木の向こうより先に言ったら危ないで」
って言われてたのに、
『俺は若いから大丈夫!行ける!!大丈夫!』
とか妙なテンションになっちゃって進んだんだよね。
まあ、結果的に進みすぎて足滑らせて
斜面転げ落ちて迷子になったわけですわ。
斜面っつっても登れないほど急斜面では無かったとは思う。
だが転げ落ちた時に足を小さい木にぶつけて傷だらけのズタズタになってたし
足ひねったみたいでとてもじゃないけど登れないと思った。
この時も俺は馬鹿で、
『確かこっちから来たからこっち歩けば村まで行ける』
って思って足引きずって進んだんだわ。
まあ反対方向だったんすけどね?
どんどん進むにつれて、もう道も何もない状態で、
その時季節は夏だったからとにかく体力が削がれた。
すぐにペットボトルに入れておいた水は空になった。
でも村には出ないし人の通る道も見えてこない。
夕方になった頃にはもう絶望してた。
真っ暗になった時にはもう死ぬんだな俺って思った。