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ドーン・・・
ドーン・・・
男「・・・」
女「・・・」
約束の時間に、オレたちは彼女の兄の車に拾われて、そこから1時間ほど走った場所の海岸線に下ろされた。
海を臨むその護岸には、大勢の人が集まっていた。
今日は花火大会だったようだ。
それは、彼女が今日を選んだ理由の一つでもあったようだ。
オレたちを下ろすと、彼女の兄は再び車に乗り込みどこかへと走って行った。
花火が終わるころ、迎えに来てくれるという。
オレは彼女の兄にお礼を言うとともに、彼女が彼女の家族に大切にされているということを改めて感じた。
ひゅるひゅる・・・・・・・・・ドーン!
男「あ・・・なんか今の花火、昼間のヒマワリみたいだな」
女「ふふ・・そうだね」
男「ヒマワリ、好きなんだな」
女「ええ・・・ヒマワリって強いじゃない」
男「強い?」
女「他の花と違って、とても強い茎を持っている。そして地面に力強く立っている」
男「・・・」
女「それなのにとっても健気で、ずっと太陽の方を見ているのよ・・・・太陽に届くことは無いのに」
男「・・・女」
女「?」
男「さっき・・・恥ずかしくて言えなかったけど、お前はヒマワリよりもずっときれいだった」
女「っ//」
男「行きたいところがあったら、オレがどこにでも連れてってやる。これからもずっと」
ヒュルルルルルルルルルルルルルル・・・・・・・・ドオオオオオオオオオンン!!!
横目で盗み見た彼女の頬は、涙で濡れているように見えた。
しかしながらオレは、闇に咲く花火から目を逸らさず、彼女の肩に静かに手を置いた。