2学期が終わり、予告通りオレは彼女と一緒に勉強する日々が続いた。
冬が深まり、クリスマスの頃になると、寒さからか彼女はあまり家から出たがらなくなった。
だからオレは、彼女の家の彼女の部屋で一緒に勉強するようになった。
人は、幸せがもうその手の中にある時は、それ以上のために努力をしなくなるものだ。
いくつかの不安を抱えたまま、オレはセンター試験の日を迎えた。
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女『自己採点どうだった?』
男「・・・・・正直ちょっとやばいかも」
女『えっ?!』
男「まあ私立もあるし、何とかなるよ」
女『・・・ならいいけど』
男「お前のほうはどうだ?」
女『え?何の?』
男「資格の勉強してるんじゃないのか?」
女『あ、うん。順調よ』
男「そっか・・なあ、今日会いに行ってもいいか?」
女『・・コラ、まだ二次も私立も受けるんだから勉強しなさい』
男「お前と一緒に勉強したい」
女『ダメよ。あなた、私と一緒だと集中してないもの』
男「ちぇー」
女『とにかく、ちゃんと集中して勉強しなさい。私も私の事やっているんだから』
男「はーい」
女『結果が出たら、報告してください・・・いい知らせ、待ってます』
男「ん」
電話を切るとオレは、家路についた。
自分の部屋でスタンド・ライトをつけて問題集を開く。
やはり集中できない。
得意の数学もなぜか公式さえ浮かばない。
ダメだ、今日は集中できない。
オレはベッドに横になると、ケータイをいじって、デートのときの彼女の写真を見る。
会った日から、一緒にすごした1年半分の彼女の肖像を眺め、思い出す。
もうすぐ卒業だ。
卒業したらオレは、彼女と。
甘い妄想に浸りながら眠りにつく。
そんな日が何日か続いた。
そして、オレの大学受験は終了した。