「ええと……、保健の教科書で見たんですけど、断面図だけなので、よくわからなかったんです。で、家の百科事典でも調べてみたんですけど……」
百科事典には、モノクロ線描の詳細な図が載っ ていた。その図は割と毛がびっしり生えていて、黒っぽくてグチャッとした印象だった。昨日チラッと見た、先生のその部分とは、あまりに違う感じだったのだ。
「あ、ちゃんと勉強してきたんだね?偉い偉い」
そう言って、美咲先生は僕の頭をなでた。
(くそっ!また子供扱いしてるな)
「あの……、それで……」
短い沈黙の後、美咲先生が思わぬことを言った。
「……見たいの?」
図星だった。胸がドキドキしてきた。
「はい」と言ったつもりだったが、声にならなかった。僕はうなずくのが精一杯だった。
「本で見てもよくわからないから、実物をみたい んでしょ?」
先生はいたずらっぽい笑みを浮かべて、そう言った。
「み、見せてくれるんですか!?」
僕はうわずった変な声になってしまった。
「何興奮してんの!修くんは!真面目に勉強したいんでしょ?そういうことなら、ちゃんと協力するよ。水泳あんなに一生懸命教えてくれたんだ から、私もちゃんと教えなきゃね」
予想外の返答に、僕はびっくりした。絶対断られると思っていたからだ。
「そのかわり、絶対に秘密だよ」
「はい!」
「私だって本当は恥ずかしいけど、もうおしりの穴まで見せ合った仲だもんね。水泳の練習中も見てたんでしょ?私のおしりもあそこも」