男「ああ、勘弁して欲しいよ。ちらっと読んだら『次は4回にチャレンジしてくれ』とか、『スカイツリーに登れ(切実)』とかばっかだぜ?」
友「くくくく。でもな、実際お前にホの字の女の子がいるんだぜ?」
男「俺は女さん一筋なの!」
友「ほら、同じクラスの笑子ちゃん。可愛いし、良く笑うし、最高だろ?」
男「・・・それが?」
友「何を隠そう、お前の事が好きらしいぜ?これマジな」
男「誰から聞いたんだよ。」
友「ラブレターに笑子ちゃんの名前があって、本人に聞いたから間違いない。」
男「お前様子が変だな。何を企んでる?」
友「い、いや。何も、企んでなんかねーし?」
怪しいな。こいつは口が回るが嘘を付けない男だ。さっきから俺と目をあわせないし、妙にそわそわしている。
男「ひょっとして、お前笑子の事が好きなのか?」
友「な、なななな!そんなわけないだろ?」
男「何だ、図星か」
本屋をでて、正面にある喫茶店に入った。
男「アメリカンホットで。」
友「・・・あ、俺ウインナー珈琲。」
俺と友は静かに流れるジャズに耳を傾け、飲み物が来るのを待つ。
ウェイトレス「お待たせしました」
男「ズズズ」
友「ズズズ」
男「で?どういうわけなんだ?」
友「俺、俺は笑子ちゃんの事が好きなんだ!」がたん
静かな店内に友の大声が響いた。初老の男性がこちらに向かって軽く咳ばらいをする。
男「お、おい!分かったから!座れって!どうして、俺と笑子をくっつけようとするんだよ」
友「仕方ねーじゃねえか。いつも横目で彼女を追ってたんだ。でもよ、何て話しかければいいのか、わからねーんだよ。」
友は静かに珈琲をすする。この店は時間の流れがゆったりしている。
友「たまたまラブレターに彼女の名前を見つけちまったんだ。雷に撃たれたみたいな衝撃さ。」
男「・・・」
友「初めて彼女に話しかけたよ。俺は男の親友だっていったら、凄え喜んでさ。情けねーけど、嬉しくて」
男「・・・」
友「ははは、笑っちまうだろ?まるでピエロだ」