ドラえもん「のび太君、入るよ」
久しぶりに入ったのび太君の部屋に僕は一瞬目を疑った。
その部屋は、壁から本棚にいたるまでほぼ一面に何かの設計図やら理論が書かれていたのだ。
そしてのび太君は僕が部屋に入ったのも気づいているのかいないのか分からないほどに集中してそれを書き続けている。
ドラえもん「のび太君……これ、何?」
ドラえもん「ねぇのび太君ってば!」
僕が怒鳴って初めて気づいたような様子でのび太君はその重い口を開いた。
のび太「……償い」
のび太「罪の……償い」
のび太「僕はどんなに理不尽な償いでも受け入れる」
のび太「そう決めた」
のび太「例えそれが絶対の禁忌に触れようと」
そう言われてはじめて気づく。
のび太君いう償い――生物の蘇生。
蘇生というだけでもそれは人類の禁忌、どの時代であろうととめられた行為。
それを今目の前にいるこの野比のび太という二十歳にも満たない少年はやろうとしているのだ。
無理だ――蘇生など現代科学では到底できるわけがない。