吹っ飛ばされた男はコンクリートの壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。
すぐにしずかがジャイアンのもとに駆け寄る。
しずか「武さん、大丈夫?」
ジャイアン「う……なんとか」
出木杉「のび太くん……それ、空気ピストル?」
のび太「土壇場で完成させたんだ。まさかこのジュラルミンケースそのものが武器だとはあ
いつも思わなかったろうね」
出木杉「しかし、どうやって……」
のび太「空気ピストルは確かにすごいナノマシンだ。しかし、あのサイズにすることを諦め
れば、性能こそ劣るものの現代の科学で代用しうるものだったんだよ。音声認識は
DR-1のときに使ったものがあるしね。そして、どうにもならない部分は……」
懐から、のび太はビックライトを取り出す。
のび太「ビックライトで壊れた空気ピストルを大きくして、そこから直接取り出したんだ。
全部が全部壊れてるわけでもなかったしね。撃つ前に空気の圧縮に20秒ほどかか
るのが難点だけど……それにこんなに大きいと、空気ピストルというより空気砲だ
しね。あはは……」
出木杉「まったく……敵わないよ。のび太くんには」
のび太「これで……終わったのかな」
出木杉「たぶんね」
しずか「――!!待って、おかしいわ!!」
のび太「どうしたの、しずかちゃん?」
しずか「のび太さん、緊急コールのときスネ夫さん何て言ってた?」
のび太「えっと……準マイクロ波と電波障害の頻度が激しいって。それと病院前に僕に化け
たコピーロボットが3体いるって」
しずか「つまり、最低でもコピーロボットは3体いる……そして、1体は出木杉さんが倒し
たのよね?」
出木杉「ああ」
しずか「武さん、あなたはコピーロボットをいくつ倒したの?」
ジャイアン「……ひとつだけ……だ」
出木杉「!!」
のび太「1体……足りない。でもどういうこと? あの男は『コピーロボットも全部壊され
た』って……」
出来杉「まさか!」
何かに気づいたように、出木杉が横たわる黒服の男に近づいていく。
上着のポケットから電磁波受信機を取り出すと、黒服に近づけた。
ランプが赤く点灯する。
出木杉「こいつ……コピーロボットだ!!」
???「よく気づいたな。だがもう遅い……ドカン!ドカン!ドカン!」
背後から空気砲を打ち込まれ、のび太、しずか、出木杉が昏倒する。
黒服1「俺が本物だ」
のび太が目を覚ますと、そこは藤子大学の共同研究室だった。
DR-1を作っている部屋だ。作業台の上にドラえもんそっくりのDR-1が乗っている。
部屋の中には他に、出木杉とジャイアンとしずかもいた。
3人も、そしてのび太自身も口にガムテープを張られ、体をロープで縛られている。
目の前には、黒服の男。その指には空気ピストルが装着されていた。
黒服1「剛田武は知っているだろうが、この空気ピストルは改造品だ。貫通力もあるし、十
分に人間を殺す威力がある」
男はその空気ピストルの銃口をしずかの眉間に向けた。