別の日
次女「いいかしら、シンデレラ? 化粧とは女をより美しく化けさせるためにするもの。口紅一つでも女は一変するわ」
シンデレラ「そうですか」
次女「では、私のをあげるから。使いなさい」
シンデレラ「で、でも……お姉様の口紅なんて……恐れ多くて……!!」
次女「私が使えと言ったら?」
シンデレラ「……使います」
次女「そう。それでいいの」
シンデレラ「では……」ヌリヌリ
次女「(シンデレラが使用した口紅……)」
シンデレラ「ど、どうですか?」
次女「ふんっ!! まだまだ甘いですわ!! この程度の化粧ではシンデレラの魅力を5毛も引き出せてなくてよ!!!!」
シンデレラ「やはり、私に口紅は似合わないのでは……色つきのリップクリームぐらいが丁度よかったり……」
次女「次、行くわよ」
シンデレラ「おねえさま……」
別の日
三女「ワンツー、ワンツー」
シンデレラ「あぁ……」フラフラ
三女「何をやっているの!? それではただただ可愛い女の子がフラフラしてるだけじゃない!!!」
シンデレラ「申し訳ありません……」
三女「炊事洗濯掃除まで完璧にこなし、更に容姿まで最高なのに、それに飽き足らず踊りまで愛嬌がある下手糞っぷりってなに? あなた、どれだけ私を虜にするの?」
シンデレラ「申し訳ありません。そんなつもりは……なくて……」
三女「そんなの分かってるわよ!!! 貴方の一生懸命さなんて痛いほど伝わってくるの!!! バカ!!!」
シンデレラ「うぅ……」
三女「(泣く……!! まずいわ……。ここは……)」
三女「オイ、シンデレラッ」
シンデレラ「セリーヌさん……?」
三女「オマエナラ、ヤレルゼ。シッカリシロヨナッ」
シンデレラ「は、はい……」
三女「やる気が出たようね、シンデレラ。セリーヌにお礼を言うことね」
一ヵ月後
シンデレラ「はぁ……」
シンデレラ「(最近、お姉様たちが厳しい……。どうして私をそこまで舞踏会に……?)」
シンデレラ「(王子様が私を選ぶなんて、ありえるわけないのに……)」
継母「オーライ、オーライ」
シンデレラ「え……?」
業者「これ、本当に買っていただけるんですか?」
継母「ええ。勿論よ」
業者「買い手がついてよかったです。こんなの見世物以外に価値はないですからね」
継母「そうでもなくてよ」
業者「それでは、ありがとうございました」
継母「ようやく、手に入りましたわね……。ふっふっふっふ……」
シンデレラ「お母様!!」タタタッ
継母「ああ、シンデレラだったの。ヴィーナスが走ってきたかと思ったわ。紛らわしいからシンデレラですって言いながら近づいてくれない?」
シンデレラ「す、すいません!! それより、この大きなカボチャはなんですか!?」
継母「大きなカボチャよ。それ以上でも以下でもありませんわ」
シンデレラ「あの、一か月分の食糧ですか? やっぱり、私のドレスで家計が一気に火の車に……!!」
継母「何を言っているのやら、この娘は。だから、バカワイイって私に思われるのよ? 自覚ないでしょうけど」
シンデレラ「は、はぁ……」
継母「貴方は何も気にすることはないわ。いいこと? 貴方は今やるべきことをやっていればいいのよ? おわかり?」
シンデレラ「あの、どうしてそこまで……」
継母「私たちが貴方を舞踏会に参加させたいからに決まってるからでしょうが!! まだわかりませんの!? ゥキィー!!」
シンデレラ「申し訳ありません!!」
継母「失礼。ちょっと興奮しましたわ。自重しなければいけませんわね」
シンデレラ「……」
継母「シンデレラ?」
シンデレラ「は、はい?」
継母「さぁ、午後の休憩はもう終わりですよ。美人で素敵なお姉様のところに戻りなさい」
シンデレラ「わかりました」タタタッ
継母「(今は耐えるのよ、シンデレラ。きっと貴方を立派なレディにしてあげます)」