別の日
次女「ドレスはこれでいいとして。あとは髪飾りや靴ですわね」
長女「髪飾りはこれを。お母様から頂いた、私のティアラです」
シンデレラ「あの……こんなに素敵なものを……?」
長女「これはね、シンデレラ。私が結婚するときのために買っておいたものなの」
シンデレラ「そ、そんな貴重品を!!! だめです!! お姉様!!!」
長女「シャラップ!!」
シンデレラ「しかし!!」
長女「誰もあげるとは言ってませんわ。貸すだけですもの。万が一、壊したら体で支払ってもらいますわ。おーっほっほっほ!!!」
シンデレラ「体で……!?」ゾクッ
次女「そういうことなら、私のピアスも貸すわ。壊したら、そのけしからん肉体で払ってもらいますけどね」
シンデレラ「やめてください!!」
三女「セリーヌを貸してあげるわ。一日のレンタル料を体で払ってくれって、セリーヌも言っています」
シンデレラ「私の体がめちゃくちゃになりますからぁ!!」
長女「ふん。そこまでいうなら、仕方ないわね。こちらのシンデレラ用のティアラを渡すわ。全く、つまらないところで真面目なんだから。シンデレラのくせに」
次女「あとは靴ですわね」
長女「シンデレラ、これをあけてご覧なさい」
シンデレラ「……これは……!!」
三女「透明な靴……?」
長女「ええ。シンデレラの洗練された美脚、美足を見せるために透明の靴を特注で作ってもらいましたわ!」
次女「流石はお姉様。発想が変質者のようですわ」
長女「おーっほっほっほっほ!!!! 褒めても何もでないザマスよぉ!!!」
シンデレラ「素敵……」
長女「え?」
シンデレラ「この靴、素敵です!!」
長女「そ、そう?」
シンデレラ「はいっ。お姉様、こんなに素敵な靴をありがとうございますっ」
長女「ふんっ!! 別にシンデレラに感謝されても嬉しくないわ!!! ええ!! ちっとも嬉しくありませんもの!!!」
長女「なぜなら、私は長女!! どんなときでも気丈に振舞ってこそザマス!!!! おーっほっほっほっほっほ!!!! ほーっほっほっ……ごほっ!! ごほっ!!」
シンデレラ「綺麗な靴ぅ……」
舞踏会 前日
継母「全ての準備は整いましたか?」
長女「何も問題ありませんわ。当日にシンデレラが着飾るものは完璧、ですわ」
次女「化粧も申し分はありませんわ。あれで男が靡かないのであれば、もうシンデレラは私が養います」
三女「舞踊も完璧とは程遠いですが、あの拙さはきっと殿方だけでなく、同性すらも虜にすることでしょう」
長女「お母様のほうはよろしいのですか?」
継母「当然。抜かりはありません。シンデレラは大事な娘ですもの。失敗などできませんわ」
長女「ですね……」
次女「まだ半年ほどの付き合いではあるけれど、シンデレラは毎日毎日全てにおいて尽くしてくれていました」
三女「彼女はそれを恩返しと言っていました」
継母「家族に恩を返す義理はないことを知らなかったが故に行動ですわ。ですが、受けた恩を返さないのも女が廃るというもの」
長女「半年間、休むことなく私たちに尽くしてくれたシンデレラのためですわ。舞踏会で彼女が人として、女としての自信をつければ……」
長女「更に美しい女性になることは間違いなし!!! ですわっ!!!」
次女「やりましょう、お姉様」
三女「シンデレラを立派な女にするために」
舞踏会 当日
継母「シンデレラ。時間ですわよ」
シンデレラ「は、はい……」
継母「……」
シンデレラ「あの、シンデレラです」
継母「あ、ああ。ごめんなさい。絵本のから出てきたお姫様かと思ったわ。まさかシンデレラだったとは……」
シンデレラ「あの、お母様? お城まではどのようにして行かれるつもりなのですか?」
継母「何を心配しているかとおもいきや……。馬車は用意しております」
シンデレラ「馬車ですか!?」
継母「その大きなお目めでとくと見なさい!!!」
シンデレラ「わぁ……!」
長女「準備できましたわ。さ、カボチャにお乗りなさい」
シンデレラ「え……? あの……馬が巨大なカボチャを引っ張っているだけにしか見えませんけど……」
継母「貴方のその可愛い目は節穴!? 眼鏡も似合いそうね!! 全く!!! よくご覧、シンデレラ。きちんとカボチャは荷車に積んでいるでしょ?」
シンデレラ「これ、馬車ですか……?」