ワームテール『父親の骨、知らぬ間に与えられん。父親は息子を甦らせん!』
墓石がパックリ割れ、中の骨が大鍋に吸い込まれる
それから、ワームテールは躊躇しながらも、ナイフを取り出す
ワームテール『しもべの―――肉―――よ、喜んで差し出されん、―――しもべは、ご主人様を―――甦らせん!』
左手にしっかりナイフを握り、右手を大鍋の中に切り落とす。
痛みに悲鳴を上げるワームテールが、しんのすけの方にふらふらと近づく
ワームテール「敵の血、力ずくで・・・奪われん。汝は敵を・・・甦らせん!」
ナイフがしんのすけの左腕を抉る。しんのすけは痛みに必死に耐える。
薬瓶で血を受けると、ワームテールはそれを大鍋に入れる。
煙が勢い良く鍋から噴出す。蒸気が晴れると・・・現れたのは
骸骨より白い顔、真っ赤な目、蛇のように平らな鼻
『ローブを着せろ』
ヴォルデモート卿は復活した。
しんのすけ「・・・お前、ヴォルデモート!」
ヴォルデモート「勇敢な小僧、お前の相手は後でしてやる。その前に、腕を出せ。ワームテール」
ワームテール「おぉ・・・ありがとうございます、ご主人様」
切り落とした右手を出す
ヴォルデモート「別の方の腕だ・・・闇の印は戻っているな、では死喰い人は戻ってくるか、試すとしよう」
その長い指を闇の印に押し付ける。ワームテールは痛みに呻いた
すると・・・
ヴォルデモート「よく来た、デスイーターたちよ。俺様の期待通りだ・・・だがお前達は俺様の期待も裏切った、違うか?」
デスイーター達は怯えたように震えるが、何も答えない
ヴォルデモート「お前達全員が、至って健康で魔翌力も損なわれていない。なのに何故この十三年もの間、俺様を探そうとしなかった!?」
ヴォルデモート「俺様は失望した・・・失望させられたと告白する。」
死喰い人の一人がヴォルデモートの足元に平伏す
「お許し下さい、ご主人様!」
ヴォルデモート『クルーシオ!』
「ヌアアアアアァオオオ」
死喰い人はのたうち回った後、その場に嘔吐した。その様をみて笑みを浮かべると、
ヴォルデモート「俺様は決して許さぬ、貴様らには13年分のツケをしっかり払ってもらう。だがワームテールはすでに借りの一部を返した」
ワームテール「私はこの一年、貴方様に尽くして参りました・・・」
ヴォルデモート「忠誠心からでは無く、恐怖心からであろうが、俺様を助ける者には褒美を与える」
杖の一振りで、ワームテールに銀色の右手が与えられる
ワームテール「わが君・・・感謝いたします」
???「では、お聞かせ願えませんか? どのように貴方がこの奇跡を成し遂げられたのか・・・」
ヴォルデモート「ルシウス、長い話だ。俺様が力を失った原因は知っているな?」
ヴォルデモート「ポッター一家だ、俺様は父親を難なく屠り、その息子を手にかけようとした。」
ヴォルデモート「だがその時、母親が身を挺して子を庇ったのだ。古い魔法、強力な反対呪文だ・・・」
ヴォルデモート「ダンブルドアお気に入りの、愛という奴だ。それは子を呪った俺様に俺様自身の呪いの一部を跳ね返した・・・」
ヴォルデモート「痛みを超えた、痛み・・・俺様の肉体は滅びた。」
ヴォルデモート「だが、俺様が誰よりも深く、不死の道を探求していたのは知っておろう。」
ヴォルデモート「その一つが功を奏し、俺様はゴーストより微弱な魂の欠片として存在する事を許された・・・」
ヴォルデモート「そんな俺様に残された最後の力が、誰かに取り付く事だ。俺様はその力で、賢者の石を奪おうとした・・・だが、」
ヴォルデモート「そこに居る若い客人、野原しんのすけに阻まれた。いや、またしても不覚を取ったのだ。下らぬ愛とやらに・・・」
ヴォルデモート「そして、一年前にこのワームテールが戻ると、俺様は殊更慎重に計画を練った。」
ヴォルデモート「気づいたのだ。俺様を甦らせるのは古くからある魔法であろうと・・・そして復活するなら以前より強力に成らねばならん」
ヴォルデモート「そこで思いついたのだ。3年前に俺様を挫いたその愛とやらの加護を取り込もうと・・・その小僧からな」
ヴォルデモート「小僧の拘束を解いてやれ、ワームテール・・・小僧に俺様の復活の余興をやらせてやろうではないか」
ヴォルデモート「学校で決闘のルールは学んでいるな? お辞儀をするのだ」
しんのすけ「お前みたいな悪党に下げる頭は持ってないゾ!」
ヴォルデモート「俺様に逆らう事は許さん! お辞儀をするのだ!」
しかし見えない手がしんのすけの頭を無理やり下げさせる。周りのデスイーターが嘲笑する。
ヴォルデモート「よろしい―――さぁ、決闘だ」
しんのすけが杖をあげる間もなく、呪いが襲う
『クルーシオ!』
「ぬわああああああああああぁぁぁあああぁ」
ケツからスイカを捻り出すような激痛がしんのすけを襲う。ケツを押えて地面を転がる。叫び声と共に気力まで激しく消耗する・・・
ヴォルデモート「さぁ、一休みだ。しんのすけ、痛かろう。もうやめて欲しいだろう?」
しんのすけは、それには答えず、ヴォルデモートを睨み付ける。
ヴォルデモート「反抗的だな・・・従順さは得と親に習わなかったのか?」
『インペリオ!』
すると、しんのすけの体から痛みが消え去った。フワフワとした幸福感。
『いやだ、と言え やめて欲しいと言うのだ・・・』
しんのすけが口を開きかけた時、あるものが目に入る・・・・セドリックの亡骸
しんのすけ「オラは言わないゾ!」
デスイーターとヴォルデモートの表情が凍りつく
ヴォルデモート「言わないだと? もう一度体に教え込むとしようか」