【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

それから1週間後、オラは酢乙女グループ本社ビルの前にいた。

「ここが……」

摩天楼の真ん中にそびえ立つ、超巨大高層ビル……。見上げると、目眩を起こしそうになる。

「……やっぱ、超巨大企業だよな……」

しかしまあ、見上げてばかりでは前に進めない。
とりあえず、中に入ることにした。

入り口を入ると、エントランスホールが広がる。
しかしまあ、無茶苦茶広い。たぶん、あの工場くらいの広さがある。
何だか場違いなところに来てしまった気がする。

(……いかんいかん。今の内から呑まれてどうする。落ち着くんだ……)

一度大きく深呼吸したオラは、受付に話しかける。

「――あ、あの……」

「はい。いかがされましたか?」

「ええと……今日予定されている、採用試験を受けに来たんですが……」

「……あなたが……ですか?」

受付の女性は、どこか不審がるような目をしていた。受けるのが、そんなに珍しいのだろうか。はたまた、オラが何かマズイ格好でもしてるのだろうか。……まあ、確かに安物のスーツだが……

「……試験会場は、15階の会議室です」

しばらくオラを見つめた女性は、淡々とオラにそう説明した。
なんだか腑に落ちないけど、とりあえず、オラは10階に向かった。

「ここか……」

看板の立てられた会議室を見つけたオラは、一度深呼吸してドアを開けた。
ここに、ライバル達が……

「…………」

――目の前の光景に絶句する。

会場にいたのは、オラが想像していた人ではなかった。
皆、屈強な体をしている。顔に傷があったり、筋肉隆々だったり……。オラがドアを開けるや、全員が鋭い目つきでオラを睨み付けてきた。
その部屋だけ、海兵隊か何かの部屋のように異様な雰囲気だった。

「……間違えました」

オラは静かに、ドアを閉める。
そして入り口に立て掛けられた看板を、もう一度じっくりと眺めてみた。

そこに書かれていた文字は、何度見ても採用試験会場……間違いはないようだが……

何はともあれ、とりあえず中に入ることにした。

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