「給料は今よりはいいはずです。少々体力を使いますけど……」
「いやいや、それはダメだよ」
「どうしてですか?」
「だって、なんかそれって、卑怯じゃないか。あいちゃんのコネで入るみたいな感じで……」
そう言うと、あいちゃんはフッと笑みを浮かべた。
「しんのすけさんなら、そう言うと思いました。……ですが、その心配には及びませんわ。
その募集自体は、一般に正規に知らせていること。それに、私がするのは、あくまでもそれを紹介しただけにすぎません。結局採用されるかどうかは、しんのすけさん次第なんですよ」
「あ、そういうこと……」
そしてあいちゃんは、表情を落とした。
「……ごめんなさい、しんのすけさん。本当はすぐにでも採用したいのですが……」
「分かってるって。あいちゃんは、そこの重役だしね。知り合いだからって、重要な仕事を無条件に任せるなんてしちゃいけないよ。
――そうだな。でも、せっかくあいちゃんが勧めてくれたから、ダメ元で受けてみるよ」
「……はい!頑張ってください!あいは、信じております!」
そしてオラは、応募した。
――だがその時、オラは知らなかった。オラが応募したそれが、どういう仕事であったのかを……