それから少ししたら、試験管がやって来た。
年配の、とても小さい人だった。プルプル体が小刻みに震えている。
オラも浮いているが、オラよりもっと浮いていた。
「……えぇ、それでは、試験の説明に入らせていただきます。
試験は3日に分けて行われます。それぞれ、面接、体力、実技を行う予定です」
(実技って……何の?)
「それでは、さっそく始めますね。――ではまず、グルチェンコフさん」
「俺ノ出番カ!!採用ハ俺ガモラウカラナ!!HAHAHAHA…!!」
ゴリマッチョのドデカイ外国人さんが、片言で出ていった。ロシア人だろうか。
……てか、あんな人も受けてるんだ……
そこに来て、もしかしたら、すんごく変なものに応募してしまったのではと思い始めた。
だって、どう見てもパソコンとか使えそうにないし。
重火器使わせたらランボーより強そうだし。
全員が、まるで戦闘前のように瞑想にふけってる。
よく見れば、思い切りミリタリーチックな服装をしている人もいた。
スーツは、オラだけだった。
(……あいちゃん。オラに、何をさせようとしてるの……)
周囲を横目で見渡した後、溜め息を吐きながら、項垂れるしかなかった。
それから、続々と歴戦の猛者共が呼ばれていった。
全員が一様に、気合を入れて出ていく。
この人達は、戦地にでも赴くのだろうか……まあ、ある意味戦場ではあるけど。
どう考えても、会社員より兵隊さんが合ってると思うけど。
「――次の方……しんのすけさん!」
「あ―――はい!」
ついに、オラの名前が呼ばれた。
「……オイオイ見ロヨ」ヒソヒソ
「ナンダアイツハ。マルデモヤシジャナイカ」ヒソヒソ
「ダガ、俺達カラスルト、ライバルガ減ッテ助カルナ」ヒソヒソ
「マッタクダ。HAHAHA…」ヒソヒソ
メチャメチャ笑われてる。ていうか、片言なのにやけに達者だな。
確かに、ここにいる奴から見れば、俺は笑いの対象だろうけど。
なんだか居心地が悪くなったオラは、足早に面接会場へ向かった。