それから、オラは家に帰った。
「……ただいま」
「……あ、お帰り……」
ひまわりはオラに気付くと、力なく声をかけた。
申し訳ないような、気まずいような……ひまわりは、顔を伏せていた。
これは、オラのせいなんだろうな。
オラが妙な意地を張ったせいで、ひまわりにこんな顔をさせたのかもしれない。
「……ひまわり」
「……うん?」
「今度……出かけようか……」
「……え?」
ひまわりは、驚いたように顔をオラに向けた。
「街にでも行って、買い物でもしようか」
「う、うん……それはいいけど……」
「よし。決まりだな。――それはそうと、オラ、お腹空いちゃったよ。ご飯、食べようか」
「……うん」
ひまわりは、不思議そうに首をかしげていた。
でもオラは、見極めるつもりだった。
本当に、ひまわりにとってどうするのが一番いいのか。オラが、どうしたいのか。そして……
次の休み、オラとひまわりは街に来ていた。
車椅子を押しながら、建ち並ぶ店を眺める。
ひまわりもまたキョロキョロと辺りを見ていたが、どこか動きが硬い。
まだ、色々気になっているのかもしれない。
「……ひまわり、今日は色々見て回るからな」
「う、うん……」
……どうやら、ひまわりは動揺しているようだ。
オラが急に出かけるって言ったからだろう。
「……あ、そうだ。ちょっと寄り道していいか?」
「え?別にいいけど……」
ひまわりの許可をもらい、オラはとある場所に向かう。
そこは、街の駅前だった。
その場所に来たひまわりは、さらに首を傾げていた。
「……駅?隣町にでも行くの?」
「いや、行かないよ。ちょっと、ここで―――」
「――しんのすけ!」
後ろから、名前を呼ばれた。
振り返ると、ここに来た目的である、その人物が立っていた。
「……風間くん、待たせて悪かったね」
「え!?風間さん!?」
ひまわりは、驚いたように後ろを振り返った。そして彼女を見た風間くんも、彼女を見たまま固まる。
「……ひま……ちゃん?」
そんな二人を他所に、オラはひまわりを押して歩き始めた。
「ほら、行くよ二人とも。今日は、三人でお出かけだ」
「―――ッ!?」
「―――ッ!!」
二人は、更に表情を固めていた。