【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

……ふと、思いついた。
今なら、ねねちゃんに色々聞いても大丈夫だろう。

「……そういえば、ねねちゃん」

「ん?なぁに?」

「ええと……」

なんて聞くか、少し悩んだ。ダイレクトに聞いてもいいが、違ったときに気まずくなりそうだし。
少しだけ自分会議をした結果、遠まわしに聞いてみることにした。

「今さ、誰かと付き合ってるの?」

「……え?」

「いやほら、ねねちゃんさ、ここにいたら出会いとかも多そうだし。もしいるなら、全力で応援したいし」

「……うん……」

ねねちゃんは、少しだけ黙り込んだ。
やはり言いづらいようだ。でも、まさおくんはあんな調子だし、ここはオラが頑張ってやらないと……

少し悩んだねねちゃんは、徐に口を開いた。

「……付き合ってはいないけど、気になってる人はいる……かな?」

そう話す彼女の頬は、桃色に染まっていた。

「へえ……それって、どんな人?」

「ええ?言わなきゃだめ?」

「言ってくれないと、サポートも出来ないって。名前は言いづらいだろうから、どんな人くらいかは言ってほしいな」

「う、うん……」

彼女は頬を染めたまま、少し俯いて話し始めた。

「昔はね、何も思わなかったんだ。でも、大人になって再開して、彼、すごく立派になっててね。私、すごく驚いちゃった。それで、なんとなく、気になったって言うか……」

「……その人って、かっこいい?」

「どうかな。私、そういうの疎いから他の人がなんて言うか分からないけど。私は、かっこいいって思うけど」

「そうなんだ。……想いを伝えたりとかは?」

「む、無理だよぉ……。恥ずかしいし、それに、もしだめだったら立ち直れないし……」

「そっか……」

「うん。そうそう。……それにね、私は、今のままでいいの。今はお互い立場もあるけど、とりとめのない話をして、お互い励ましあって……。
確かに微妙な距離感だけど、彼と繋がってるし。逃げてるように見えるかもしれないけど、今は、これでいいの……」

「……わかった。もしオラに手伝えることがあったら、なんでも言ってよ」

「うん。ありがと」

そういうと、彼女は再び子供たちに視線を送った。
その表情は、とても安らいでいた。話す中で、彼のことを思い出しているのかもしれない。とても、幸せそうだった。

……だが、それは少なくとも、まさおくんじゃないだろう。名前は聞けなかったけど、それは断言できる。

オラは、子供に追い掛け回されるまさおくんを見て、一人静かに合掌するのだった。

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