【クレヨンしんちゃん】しんのすけ「……父ちゃん、母ちゃん。ひまわりは今日も元気です。――行ってきます」誰も知らない22年後・・・

「……チーター、結婚するんだ……」

オラはしばらく、体に走った衝撃に身動きが取れなくなっていた。

「河村先生の奥さんってね、すごく美人なんだよ?まさに、お似合いのカップルって感じなの」

ねねちゃんは、笑顔でそう話す。

(まあ、あれだけイケメンなら、そうだろうけど……って、今はそうじゃない!!)

チーターは結婚する。それをねねちゃんは知っているようだ。
そして彼女は、むしろ祝福しているように見える。

……まさかねねちゃん、今の関係を崩したくないってのは、こういう事情があったからなのか?
だとするなら、彼女はどれだけ茨の道を進むのだろうか……

感傷に耽っていると、ふと、後ろから声がかかった。

「――しんちゃん。ねねちゃん」

どこかで聞いたことのある、緩い声。その声の主は……
後ろを振り返ると、そこにはぼーちゃんがいた。

「あれ?ぼーちゃん、今帰り?」

「うん。二人は、何してるの?」

「しんちゃん、今日、フタバ幼稚園に遊びに来てたのよ。……ねえぼーちゃん、せっかくだし、三人で帰りましょう」

「うん。帰ろう」

ぼーちゃんは、笑顔で返事を返す。

そしてぼーちゃんとねねちゃんは、オラの前を歩き始めた。
楽しそうに会話をする二人。
ぼーちゃんはさることながら、ねねちゃんの笑顔には、どこか見覚えがあった。

――幸せそうに、朗らかに笑うその笑顔……それは、確かさっき幼稚園で見た……

(………………まさか……)

……オラは、いつから錯覚していたのだろうか。

ねねちゃんが気になっているのが、まさおくんかチーターである、と……

(………まさか……ねねちゃんが言ってた、“気になる人”って………)

オラの中で、バラバラのパズルのピースが、一つになった。
そんなオラの前を、ねねちゃんとぼーちゃんは並んで歩く。とても、幸せそうに……

……さすがのオラも、まさおくんに同情するしかなかった。

確実に彼は今、かすかべ一の、不幸な青年であるのだから……

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