でも、それは叶わないみたいです。
日に日に増していくのは
体の違和感と点滴の量。
そして不安。
食事も満足にできないこの体で、無事に赤ちゃんが生まれてくるのか。
1人でいると、そんなことばかり考えていました。
けど、あなたやしんのすけの顔を見るとそんな不安もどこかへ行ってしまい、絶対赤ちゃんを産んでやる!
そう思うことができました。
この手紙を読む頃に
私はもういないかもしれないけど、きっと元気な赤ちゃんが産まれてきてくれてるはず。
きっと私に似て美人になるから、大切に大切に可愛がってください。
あと
しんのすけにもごめんねって伝えておいてください。
5歳の子には辛すぎたと思うから。
最後に、
あなたに会えて良かった。
あなたに会えて、結婚して、しんのすけが生まれて。
ケンカもたくさんしたけど、毎日が幸せでした。
ありがとう。
愛してます。
みさえ 」
ひろし「うっぐ…、みさえ…」
ひろしはまたしばらく
その場で泣き崩れた。
ひろし宛ての他にも
しんのすけ宛て
銀の助宛て
幼稚園の先生宛てなど
いろんな人宛てがあった。
きっと苦しい中必死書いたんだろう。
不安と戦いながら…
―――――現在
ひろしはしんのすけに一枚の封筒を差し出した。
ひろし「これは、母ちゃんがしんのすけに書いた手紙だ。」
“しんちゃんへ”
しんのすけはそう書かれた封筒を受け取り
手紙を取り出した。
しんのすけ「しんちゃんへ…」
しんのすけでも読めるように、すべてひらがなで書かれた手紙を
しんのすけはただただ黙って読みだした。