「高いけど、いいですか?」「いいよ。」彼女から買って欲しい物の指定があったのはそれが最初。
制服ならサイズ合わせだけだから選ばなくていいのに少し安心した。
合格発表当日。たまたま休みが合ったから、一緒に見に行く事になって。彼女も友達も一緒で。
女の子四人連れて徒歩で高校まで。殆ど引率。みんな全然緊張感無くて。拍子抜けして。
理由聞いたら「今年三人しか落ちないから。」だから大丈夫。でも逆に残酷な状況でもあって。
掲示板に結果張り出されて、すぐ彼女と友達三人とは番号見つけて喜び合ってたんだけど、
大泣きしてる男子がいて。仕方の無い事だけど、気の毒に。そう思ってたら急に振り向いて。
「生活保護!学費どうすんだよ!就職じゃねぇのかよ!迷惑なんだよ!!」一瞬で周囲の空気凍って。
こっち突っ込んできて。先生とか周囲の男子が止めに入って。それ後目に、足早にその場離れて。
彼女に視線落としたら、俺の腕引いて「慣れてます。」かける言葉無くて。軽く肩抱いて。
彼女が動かないから俺も動けないでいると、彼女の友達が「はい、交代。」と、手挙げて。
「ダメ。」「あ、ケチ。」「私の。」「はいはいそーだよねー。」笑わせてくれて。
やっとまた喜び合えて。合格と、良い友達いてくれた事。二重に嬉しかった。
あの時彼女に罵声浴びせた男子は、学校でも同じ感じで、彼女が進学取り止めれば、
自分が繰り上がるんじゃないかと思って、付け回して怒鳴りつけて何て事もあったらしい。
「親いねぇから怖くねぇ。」と放言してたとも。でも彼女は俺に何も言わなかった。
俺はそれを、一緒に合格発表見に行った中の一人と携帯で話して知った。