様々な困難に直面しつつも、喉を潤す。
「美味しい」
「そりゃ、ようございましたね」
どうやら口に合ったらしい。ほっとしたら。
「あなたのも飲みたい」
「はいはい……って!」
ついつい、自然な流れで手渡してしまった。
「どうかしたの?」
「いや、別に……」
「うん、これも美味しいわ」
「そ、それなら良かった」
「じゃあ、次は私のを飲んでみる?」
まあ、そうなるよな。ストローが魅力的だ。
「いや……遠慮しとくよ」
「豆乳嫌いなの?」
「そうじゃなくて、その……」
「どうしたの?」
どうも、この女は全然気づいていないらしい。
「これって、たぶん……間接キス、じゃね?」
「は?」
「だって、同じストロー使ってるし……」
どうしてこんなことを説明しているのだろう。
「だから、間接的にキスしたことに……」
「……ッ!」
ようやく気づいたか。今更顔を赤くすんなよ。
「まあ、気にすんなよ! 事故だからさ!」
「……気にするに決まってるでしょ」
「そ、そんな深刻になられても困るんだけど」
「うるさい! 責任取って!!」
何故か、俺は責任を取らされることになった。