「今日も親が不在なのだけど」
当然、今年は間接キスなどしなかったのだが。
「うち、上がっていく?」
宿題だって理系と文系では内容が異なるけど。
「ああ、お邪魔するよ」
解けていない難問に回答する決意を、固めた。
「入って」
1年ぶりのガリ勉の部屋は、変わりなかった。
物が少なく、綺麗だけど、寂しさを覚える。
そして、またしても、去年と同じように。
読みかけの少女漫画が、床に伏せられている。
「今、お茶を淹れるから……」
「いや、いいよ。さっき飲んだばっかだし」
「そ、そう言えば、そうだったわね」
落ち着かない様子のガリ勉に、俺は質問する。
「お前って今、仲の良い奴とかいんの?」
「い、いないわ」
「じゃあ、付き合ってる奴は?」
「い、いない……です」
よーし、言質は取った。仕上げは、壁ドンだ。
「きゃっ!」
「こうして、告白すればいいんだよな?」
「して、くれるの……?」
「ああ、好きだ。俺と付き合ってくれ」
随分と遠回りになったけれど、やっと言えた。
「はい……よろこんで」
1年越しのキスの味は、キャラメルの味がした。
【告白の仕方の再現】
FIN